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山形の象徴、大沼の復活ぜひ 再生計画、市民ら歓迎

2020年05月29日 08:57
再オープンの計画が明らかになった旧大沼山形本店前。再生を歓迎し、シャッターが下りたままの店舗に目をやる市民の姿も見られた=山形市七日町1丁目
 破産した百貨店・大沼(山形市)の旧山形本店について、東京の商業コンサルティング会社が百貨店事業再開に向け、所有者の実業家と売買交渉の最終段階に入ったことを受け、市民や地元商店街などから28日、歓迎の声が相次いだ。

 「大沼は山形の象徴。あるのとないのとでは全然違う。再オープンしてくれたらうれしい」。営業中は散歩がてらに立ち寄っていたという山形市西田2丁目、無職小関淳さん(78)は笑顔を見せた。4年前に県内に転居してきた同市南館4丁目、個人事業主高橋尚子さん(34)も「大好きな山形が全国初の“百貨店ゼロ県”になったのはさみしかった」と再生計画のニュースを喜んだ。

 大沼本店再生に名乗りを上げたのはコンサルティング会社のやまき。土地・建物双方の所有権を取得後、「大沼」の店舗名のまま、早ければ年内に再オープンさせる構想を持ち、所有者の和田有弘(なおひろ)氏(山形市)と詰めの交渉をしている。

 食品卸業に携わる同市南館2丁目、松本浩司さん(50)は、取引で全国の業者が来県することによる経済効果もあると指摘。前回の再生失敗を踏まえ「生き残るためには、若者向けのテナントを入れるなどの集客策が必要だ」と語った。市内の会社役員は「大沼は長く再生できずにいた。同じ百貨店の業態で復活できるのか」と疑問視した。

 旧大沼の幹部たちは再生への希望を胸に秘め、破産後も変わらず毎日、店舗周辺の清掃活動を続けてきた。破産から約4カ月。一筋の光明が差し、元本店長の道家英之さん(50)は「和田氏の支援があり、今回のやまきの動きにつながった。再生の話は大変ありがたく、うれしい」と喜んだ。やまき側は解雇された元従業員の雇用を検討しており、「大沼を愛しているかつての仲間と再び働ければありがたい」と続けた。

 突然の破産で大沼は閉店セールが開けず、顧客、取引先への感謝と謝罪の気持ちは直接伝えられなかった。「お世話になった方々へ恩返しできればいい」。道家さんは再生の日を思い描いていた。

大沼の旧山形本店再生の動きを巡り、会談後に取材に応じる佐藤孝弘山形市長=山形市役所
コロナ後の起爆剤に―市長、商工関係者
 大沼山形本店再生の動きをめぐり、佐藤孝弘山形市長、矢野秀弥山形商工会議所会頭、岩淵正太郎七日町商店街振興組合理事長らが28日、山形市役所で急きょ会談した。会談後、取材に応じた3氏からは推移を見守るとしながらも「市民にとって最も良い方向で検討が行われている」など交渉を歓迎する言葉が続いた。

 佐藤市長は中心商店街の百貨店に対する市民の期待は大きいとし、旧山形本店が百貨店として再生することが望ましいという点で3者が一致したと表明。「何らかの合意、方向性が出た際には市としてもしっかりと応援していく」と明言した。

 新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言が解除され、今後、中心商店街の新たな姿を模索していく必要があるとし、「アフターコロナの中心商店街を考える上で一つの起爆剤になり得る」と語った。

 矢野会頭は「市民や元従業員、テナント、仕入れ先の関係者にとっても朗報」と喜んだ。再就職した元従業員はまだ4割程度。「大沼への思いが強い人が多く、今回の動きを待っていた人もいたのではないか」と心情を推察。旧山形本店の土地、建物について競売開始を申し立てた山形銀行については「山形を良くしたい気持ちはわれわれと変わらない。新たな判断をされる可能性もあると思っている」と期待を寄せた。

 岩淵理事長は「大沼閉店に続くコロナショックで七日町の人出は全くなくなった。実現すれば、集客に加え、文化の面でもありがたい。年明けには御殿堰(せき)南側の商業施設も完成する。お客さんに来てもらえる施設が増える」と話した。

建物の競売どうなる?―山形銀「考え、変わりない」
 大沼の旧山形本店の土地、建物は山形銀行が抵当権を設定し、山形地裁から今年3月に競売開始決定を受けた。不動産の評価額は4億数千万円とされ、今後、現況調査を経て入札期間が決まる。入札最低ライン(買受可能価額)は相場や過去の事例などから2億~3億円程度になるとみられる。競売は当初、今年秋から冬以降に実施されると見込まれていたが、新型コロナウイルスの影響でさらにずれ込む可能性がある。

 やまきは破産前から大沼再生に興味を示し、競売開始決定後、山形本店の所有権を持つ和田有弘氏と交渉に入っていた。民法などの規定では、競売開始決定を受けた物件でも所有権移転や百貨店事業再開は可能だが、旧大沼の従業員、取引先、常連客の離散を最小限に食い止めるため、少しでも早く土地、建物を取得したいという。早期に修繕・改装、営業再開することで建物の破損を防ぐ狙いもあるとみられる。

 今後、やまきは山形銀行に競売申し立ての取り下げを依頼する方針だ。山形銀行は28日、山形新聞の取材に対し「中心市街地の核となる重要物件の再興に向けた歩みを迅速に進めるには、裁判所による公正な手続きの下、透明性の高い対応が必要との判断で3月に競売の判断に至った。この考えに変わりはない」と回答。「中心市街地のにぎわい創出、真のまちづくりに資する事業所が取得することを期待している」とした。
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