上山市のかみのやま温泉で2018年に閉館した老舗温泉旅館「材木栄屋旅館」について、貸しビル業などの横田商事(川崎市、横田隆義社長)が取得し、6月20日にリニューアルオープンさせることが27日、分かった。客室をベッドスタイルの洋室や和洋室に改修し、ビジネスタイプも併設する新たな温泉旅館として営業する。
市中心部の新湯温泉街にあり、1921(大正10)年の創業。当初は「栄屋」として営業していたが、本業が材木業だったため「材木栄屋」として親しまれてきた。バブル景気の崩壊や同業他社との競合激化などの影響を受け、2018年8月に事業を停止していた。
リニューアルした建物は木造3階建てで、床面積2298平方メートル、敷地面積は2611平方メートル。ヒノキの柱など木をふんだんに使った従来の構造を生かしながら、部屋を個人客向けのベッドスタイルにし、シングル21室と畳敷きのツイン14室を設けた。温泉風呂付きの和室も2室ある。源泉掛け流しの大浴場のほか、貸し切り風呂も改修した。料金は1泊朝食付きでシングル5千円~、ツイン2人1万円~を見込んでいる。
日帰り入浴(大人450円)にも対応。大正時代の蔵を活用した食事処を整備し、上山市が進める「上山型温泉クアオルト(健康保養地)構想」にちなんだ健康食も宿泊客や観光客に提供する。
横田社長は、山形市のナナ・ビーンズ内のビジネスホテル「ステイイン七日町」や鶴岡市の「ステイイン山王プラザ」なども運営しており、「近年、温泉を取り入れたビジネスホテルのニーズが高まっている。旅館を手掛けるのは初めてだが、これまでのノウハウを生かしながら新しいスタイルに挑戦し、上山の活性化にも協力していきたい」と話している。
|
|