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「疫病退散」時を超えて-お札復刻 南陽・熊野大社、200年前の版木発見

2020年05月18日 07:41
約200年ぶりに見つかった「疫病退散」のお札用の版木(中央)とその写し=南陽市宮内・熊野大社
 南陽市宮内の熊野大社が新型コロナウイルスの収束を願って、約200年ぶりに「疫病退散」のご利益があるお札を復刻させた。印刷に使った2種類の版木は感染拡大前の昨年末、職員が偶然見つけたもの。関係者は「縁結びの神様のお導き」と、24日からの配布を目指し準備を進めている。

 熊野大社は昨年、境内にある考古館の改修に着手。保存していた大量の版木の中から今回の2枚が見つかった。その後、新型コロナの感染が急拡大したため、復刻に乗りだした。

 版の1枚には平安時代に疫病が流行した際、鬼の姿になって感染を鎮めた伝説が残る天台宗の僧「元三大師(がんざんだいし)」が描かれ、もう1枚は同大社の神様を絵で表現したとされる馬に乗った装束姿の男性が描かれている。配布元として記された「熊野山台林院(たいりんいん)執事」「宮内蟻王山(ぎおうさん)」は、共に明治の神仏分離令前の名称だったことから、同市文化財保護審議会長の須崎寛二さん(88)は「神仏習合で熊野一山を築いていた江戸時代のものだろう」と分析する。

 市史によると米沢藩領だった当時、市内では天然痘やはしかが流行した。中でも1858(安政5)年に多くの死者を出したとされるコレラは治療薬がなく、藩が領民に予防法を周知したという記録も残る。須崎さんは「コレラの流行時に人々が神仏を頼り、これらの版木が作られたのではないか」と推測する。

 お札は地元の書家に依頼し、オリジナルの版木から墨で紙に写し取る手法で復元した。この写しを複製する形で、自宅玄関などに貼りやすい大きさ(縦18センチ、横6センチ)に復刻したお札が1枚500円。財布などに入れて持ち歩ける紙製のお守り(200円)や、お札の絵柄をデザインした御朱印(300円)も用意し、いずれも希望者には郵送で届ける。

 同大社の北野淑人権禰宜(よしとごんねぎ)(38)は「伝承する太々神楽(だいだいかぐら)が来年で100年の節目を迎えるからこそ、考古館の修繕に取り組んだ。それが今回、疫病よけの版木が見つかるきっかけとなり、縁結びの神様が引き合わせてくれたのかも」と、偶然の出合いを使命と捉え復刻に当たっている。問い合わせは熊野大社0238(47)7777。
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