太陽光発電、効率アップへ 山形大・久保田准教授が新技術、ガの眼ヒント

2020/5/3 12:59
有機薄膜太陽電池の基板にモスアイ構造をプリントする久保田繁准教授=米沢市

 山形大工学部の久保田繁准教授(48)は有機薄膜太陽電池に当たる光を従来より長く閉じ込めて発電量を増やす新技術を開発した。発想に重要な役割を果たしたのが「ガの眼」(モスアイ)。細かい凹凸が無数にあり、くぼみに光が当たることで、反射が繰り返され、光を長く閉じ込めることができる。発見の“肝”は最適な「くぼみの大きさ」(周期)を突き止めたことだ。

 再生可能エネルギーを代表する太陽光発電は二酸化炭素を放出する化石燃料とは異なり、究極のクリーンエネルギーと期待されている。現時点で太陽光を使って発電する技術は、普及しているシリコン製と研究段階の有機薄膜がある。前者は発電量が多いもののコストが割高になり、後者はコストを抑えられるが、発電量はシリコン製より劣るのがネックとなっている。

 薄さを維持しながら発電量を上げるため世界中の研究者が着目しているのがモスアイだ。久保田准教授は「ガは進化の過程で暗い中でも視界を得るため弱い光を効率的に集められるよう、眼の表面に凹凸が生まれた。この仕組みをうまく取り入れることができれば、発電量増に生かせる」と展望する。

取り込んだ光を反射させ、長くとどまらせることができるモスアイ構造の電子顕微鏡写真(山形大提供)

 一口に太陽光と言っても、さまざまな光(波長)が含まれている。久保田准教授は、その中から発電に適した光が発電層に長くとどまれるよう、特性を分析し、最適なくぼみの大きさを算出した。久保田准教授は「将来的に自動車の屋根に有機薄膜太陽電池を貼り、車内へ電力を供給するほか、スマートフォンが充電できるバッグなど、これまでなかった製品開発が期待できる」と展望している。

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