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上山市、温泉健康施設を断念 横戸市長「計画変更では成果望めず」

2020年03月27日 10:29
温泉健康施設整備事業の中止を発表する横戸長兵衛市長=上山市役所
 上山市が「上山型温泉クアオルト(健康保養地)構想」のシンボルづくりとして、弁天地区で予定していた温泉健康施設整備について、横戸長兵衛市長は26日、事業の中止を発表した。計画の変更では事業目的や目指す成果の達成が困難になると判断したとしている。同事業を巡っては、財政面への不安などから先月の市議会臨時会で関連予算案が否決されていた。

 市役所で同日、記者会見した横戸市長は「温泉健康施設整備は市民の健康増進、交流人口の拡大、市民の集いの場創設を目的としていた。計画の変更や縮小は可能だが、目的や目指す成果の達成は難しくなる」と事業中止の理由を説明した。クアオルト構想の今後の展開については「引き続きまちづくりの軸と位置づける。関係者の意見を踏まえ、2020年度中に構想を大幅に見直す」とした。

 事業は昨年4月の市長選で公約に掲げ、これまで温泉掘削などに約2億3千万円を投じてきた。撤回の形となり、横戸市長は「取り組み自体の方向性は間違っていない。市民の健康づくりに向けて新しい施策を展開していくことが責任の取り方と考えている」と強調。「否決はこれまでの投資を無駄にすることだと議会も理解していたはずだ。議員にもクアオルトの新たな方向性を示してほしい」と述べた。掘削した源泉については「現段階では市独自で活用するとの考えまでには至っていない。民間が利活用する話が出れば協議していきたい」とした。

 同事業では約20億円を投じ、斎藤茂吉記念館所有の用地(約9千平方メートル)を取得して日帰り温泉、運動浴プールなどの整備を計画。民間事業者に設計、建設、運営を一括発注するDBO(デザイン・ビルド・オペレート)方式を取り入れ、今年10月の着工、22年7月の運用開始を目指していた。

 先月の臨時会では事業に反対する議員から「市財政を著しく圧迫させる」「説明が足りず市民の理解が得られていない」などの意見が出た。施設整備費と36年度までの運営費計16億5千万円を限度とする債務負担行為を盛り込んだ19年度一般会計補正予算案は6対8の賛成少数で否決された。

 市議会に対しては26日午前、横戸市長が事業中止について説明。反対していた枝松直樹市議は「多くの市民と対話する中で建設に疑問の声が多かった。断念は民意をくんだ判断」と話した。賛成していた高橋義明市議は「賛同する市民や関係者の声に応えられず残念。周辺への環境整備なども期待されたので中止は大きな損失だ」と語った。

 計画地内には山形新聞と山形放送が提唱する「最上川さくら回廊」事業で植栽した桜35本があるが、施設整備のため予定していた伐採は見送られることになった。

【解説】議論平行線、反対翻せず
 市議会が市の目玉事業に「ノー」を突きつけてから1カ月。横戸長兵衛市長は「さまざまな方策を検討したい」と温泉健康施設整備事業継続の可能性を探ったが、反対議員が翻意する様子はなく、打開策は見つからなかった。

 事業に反対する議員は▽財政圧迫▽市民への浸透不足―を理由に挙げる。これに対し市は、市内10地区で説明会を開催。議会へも複数回の会合を通して理解を求めたが、議論は平行線をたどり続け、合意形成は困難な状態だった。

 さらに財政負担を減らすためにプールをなくすといった施設規模を変更、縮小することは「健康増進から介護予防まで総合的な健康づくりを展開する」という理念を変えることになる点も、断念の要因となった。

 横戸市長は記者会見で「市の重要施策としてクアオルト事業を進めていくことに変わりはない」と語った。シンボルとなるべき施設整備は頓挫したが、全国からの視察や事業に賛同する企業との協定締結が続くなど、評価が高い取り組みであるのも事実だ。

 今回の計画を進めるに当たり、執行部が丁寧さを欠いた面は否めない。今後はしっかり市民や市議会と意思疎通を図りながら、独自性の高い、上山ならではの健康施策を展開していくことが大切になる。

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