無観客でも前向きに全力プレー 選抜高校野球大会、日本高野連が方針

2020/3/5 09:32

 開催の可否が注目されていた第92回選抜高校野球大会。日本高野連が4日に示した無観客での開催方針について、41年ぶりに出場する鶴岡東をはじめとする県内の関係者は判断を前向きに受け止めた。ただ新型コロナウイルスの感染が広がる中、結論は11日に持ち越しとなり、「収束を願うだけ」との声も上がった。

記者会見前、日本高野連の発表をスマートフォンで確認する佐藤俊監督(中央)ら=鶴岡市・鶴岡東高

鶴岡東・佐藤監督「しっかり準備」

 「しっかり準備をして臨む。また明日から頑張っていきたい」。日本高野連の方針を受けて同校で開かれた記者会見で、佐藤俊監督(48)は無観客での開催にも前向きな思いを示した。まだ見通しの立たないことは多いが、「一晩考え、選手たちの顔を見て新たな目標を考えたい」と力を込めた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を巡ってスポーツ大会の自粛・中止が相次ぎ、同校は2日から休校になった。“センバツ”はどうなるのかという、選手の心境を察し、佐藤監督は「私が言葉にした方が不安にさせかねない」と、あえて触れずに見守ってきた。練習を短時間に抑え、健康管理に留意してきたという。

「甲子園で野球ができることに感謝する」と話す鈴木喬主将

 観衆のいない中での試合については「あまり想定しすぎても仕方ない。方針は出たばかりなので、これからイメージしたい」と冷静に受け止める。選手たちの活躍は「画面」を通じて伝えることになる。「全力疾走、全力プレー。その姿をお見せする」と胸を張った。

 会見後、鈴木喬(きょう)主将(17)も報道陣の取材に応じた。「開催されると信じて練習に励んできたので不安な気持ちはなかった。無観客でも、甲子園でプレーすることは夢だった。野球ができることに感謝し、精一杯プレーしたい」と決意を語った。

県高野連理事長「選手の思いくんだ」

 県高野連の江口理博理事長(60)は無観客での開催方針について、「選手の思いをくみ、感染拡大防止について十分に検討した上での判断だろう」と受け止める。「高校球児にとって甲子園で試合をすることがモチベーションになっているので、選手たちはほっとしていると思う」とおもんぱかる。「(感染)状況が収束に向かうことを願う」とし、「実施に向けた方針が示された。県高野連としても選手たちをバックアップしていきたい」と話した。

日大山形の荒木監督「全く想像できない」

 2018年の選抜大会にも出場した日大山形高の荒木準也監督(48)は「出場校にとって無観客でも甲子園で試合ができることに越したことはないが、声援のない状況は全く想像できない」。スタンドの観客が熱狂する甲子園独特の雰囲気は「後押しにもなれば飲み込まれもする。選手にとっての影響はかなり大きいはず」とし、「甲子園の大舞台を経験したチームや選手ほどギャップに苦労するのではないか」と口にした。

他競技大会相次ぎ中止、指導者の思い複雑

 硬式野球を除き、今月中旬以降に予定されていた各競技の全国高校選抜大会は相次いで中止になっている。県勢の活躍が見込まれた競技も開催が取りやめとなり、「大舞台に送り出してあげたかったが、状況を考えれば仕方ない」。全国舞台に向けて練習に励む選手を見続けてきた指導者は複雑な心境をのぞかせた。

 昨夏の全国高校総体(インターハイ)で3位だった卓球男子団体の鶴岡東高は先月の東北選抜大会を6連覇して全国切符をつかんだ。新生チームの強さを感じただけに、「非常に残念だが、生徒の健康面の安全を考えれば仕方ない」と杉野森大輔監督(50)。選手にとって大舞台の経験が飛躍のきっかけにもなり、「がっかりした様子だったが、選手にはこの経験を糧にしてインターハイに向かってほしい」と背中を押した。

 ソフトテニスの羽黒高は男女の団体に出場を予定していた。白幡光総監督(53)が大会中止を伝えると、「選手たちは急に目標を見失ったようで肩を落としていた」という。前回大会は男子団体で3位。今回は戦力的にベスト4以上の可能性もあっただけに落胆は大きい。「全国大会の結果は選手としての進路にも関わってくるが、中止の決定は変わらない。今後に向けてやるべきことをやっていくしかない」と先を見据えた。

 「選手の活躍の場が失われるのは残念」とは日大山形高ボクシング部の佐藤祐平監督(34)。男女合わせて2選手が出場し、上位入りが期待されただけに「できればリングに立たせてあげたかった」と無念そうにつぶやいた。政府の臨時休校要請に伴って部活動の自粛もあり、「選手にとっては難しい調整になる。状況が好転するのを待つしかないのは歯がゆい」と心境を吐露した。

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