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大沼、自己破産申請へ きょう27日、再建行き詰まり営業継続を断念

2020年01月27日 07:20
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 経営再建中の百貨店・大沼(山形市、長沢光洋代表取締役)が自己破産を申請する方針を固めたことが26日、関係者への取材で分かった。同日で営業を停止し、27日に山形地裁に申請する。店舗の大規模改装など抜本的な経営改革が進まない中、消費税率引き上げに伴い売り上げが低迷し、回復は見込めないと判断した。全国の百貨店で3番目に古い創業320年の歴史に幕を下ろす。

 関係者の話を総合すると、大沼は昨年10月の消費税増税後、売り上げが前年同期に比べ10~20%減少。今期は前期から数億円の減収見込みで資金繰りに苦しんでいた。取引先への27日の支払いが困難になり、営業継続を断念した。26日を最後に山形本店、旧米沢店で営業してきた米沢サテライト店(米沢市)、ギフトショップ新庄店(新庄市)のいずれも閉鎖する。

 従業員約200人は全員解雇する方針で、経営陣が26日の営業終了後、破産申請とともに伝えた。

 大沼は1700(元禄13)年の創業。経営悪化を受けて創業家が2017年12月、投資ファンドへの経営譲渡を表明し、金融機関から債権放棄の同意を取り付けた上で18年4月に実行された。だが、ファンドは出資金を自社に還流。資金不足が明るみに出たため佐藤孝弘山形市長や山形商工会議所会頭らが買い支えを市民に呼び掛ける異例の事態になった。

 19年3月には地元社員が中心になり、山形市の実業家からの融資を原資に経営権を取り戻した。同8月に不採算となっていた米沢店を閉鎖。ファンドに解任されて退いた長沢氏が再びトップに就き、実業家から金銭的支援を受けて経営を続けたが、資金繰りは綱渡り状態だった。

 関係者の話では、食料品販売などは周辺住民に欠かせないとして、一部社員が実業家の協力を得て再開の道を模索するという。しかし、債権者から理解を得ることが最低条件で、取引先からの協力など解決すべき課題は多く、実現するかは流動的という。

【解説】環境変化に対応できず
 大沼が自己破産を決断した。この2年間で経営体制は目まぐるしく変わったが、従来の百貨店形態からの脱却はままならず、市場環境や消費スタイルの変化に対応できなかった。

 人口減少や少子化、インターネット通販の普及などにより全国の地方百貨店はどこも存続の危機に陥っている。高額衣料から食料品までそろえる百貨店形態は限界となり、新たなビジネスモデル構築が必須だ。

 大沼は米沢店閉鎖などでコスト削減を進め、山形本店では県内産品重視の店舗づくり、地域商社への脱皮を目指したが、老朽化した設備や品ぞろえはほぼ変わらず、新たな顧客は獲得できなかった。経営陣は資金調達に追われ、大胆なリストラ策を打てないまま追い詰められた。

 中心商店街の振興と活性化には核となる店、施設が欠かせない。老舗百貨店が消えれば、山形市と山形商工会議所による市中心市街地活性化戦略本部が描いたグランドデザインを見直す必要がある。早急な対応が求められる。
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