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消さないで、文化の灯 シベールアリーナ、県内外から善意

2020年01月26日 11:18
井上ひさしさんが細部までこだわったアリーナ。舞台と客席の距離感などが出演者に高く評価されている=山形市蔵王松ケ丘2丁目
 命名権スポンサーの経営破綻に伴い、資金不足に陥っている山形市の複合文化施設「シベールアリーナ&遅筆堂文庫山形館」。川西町出身の作家・故井上ひさしさんの思いを形にした施設は、地方にありながら一流の公演を楽しめる場として山形の文化を支えてきた。いまだ後継スポンサーが決まらない中、県内外から運営を後押しする善意が寄せられ、出演者は存続を願う声を上げている。

 「大切な財産」「文化の灯をつないで」―。広く善意を募る「そよ風寄金」に寄付した人たちの言葉がホームページに並ぶ。寄付額は現状が明らかになった昨年9月下旬以降に急増。それまで月10万円程度だったが、10月は約180万円となり、以降も月100万円前後が寄せられている。

 「少しでも励ましになれば」と、5万円を寄付した山形市緑町2丁目、無職原葉子さん(67)は「山形では見られない芝居や講演を楽しませてもらってきた。これを民間がやってきたのは誇りであり、(施設は)宝物だと思う。何とか続けてほしい」と力を込めた。

遅筆堂文庫山形館のオープン日にインタビューに答える井上ひさしさん(右)と熊谷真一さん=2008年9月16日(弦地域文化支援財団提供)
 井上さんの発案で世界中の劇場にアンケートし、客席数や舞台造りに生かしたアリーナは、客席との距離感や使い勝手の良さを評価する出演者が多く、数々の著名人が舞台に立った。

 落語家立川志の輔さんもその雰囲気を愛する一人だ。これまで4度の公演を行った。山形新聞の取材に文書でコメントを寄せ、井上さんと旧シベール創業者の熊谷真一さんとの出会いで施設が誕生した背景に触れた上で「井上先生の言葉を借りれば奇跡、が紡ぐ、このようなホールは全国どこにもない」と表現。「一流のものを、ここで観(み)られる山形の人は幸せです。そこへ呼んでもらって落語を演(や)らせてもらっている私はもっと幸せです。この灯(あか)りを絶やさないことを切に願っております」とした。

 2012年から毎年「さくらんぼの日コンサート」として山形オリジナルの公演を行っている歌手加藤登紀子さんは、毎回テーマを変えながら地元のコーラスの人たちと公演を作り上げてきた。取材に応じ「こうした企画が続けられるのは奇跡的なこと。新しい挑戦ができる場所が、長く続いてほしい」と話した。

 劇団こまつ座元代表で井上さんの長女の都さん(56)は、理想の劇場づくりに熱中する父の姿を近くで見てきた。「父が最後に力を入れた大事な場所」とし、その志に共感し施設を造った熊谷さん、良質な企画を提供してきたスタッフ、それに来場者が過ごした時間を思い、「ここに関わった人たちの思いを無にしてほしくない」と語った。

 「この奇蹟(きせき)が永く輝きつづけて日常そのものになり、この国に欠かせない社会共通資本になるためには、その最終最大の決め手は、みなさまの参加である」。施設入り口近くの壁面には、開館時に井上さんが寄せたメッセージが掲げられている。この思いを次の世代につなぐため、運営する弦地域文化支援財団はスポンサーの募集を続けている。期限は2月末まで延長した。問い合わせは023(689)1166。
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