【モンテ】挑むJ1参入PO(下) あの「決勝ヘッド」山岸さんに聞く

2019/11/30 12:51
「慌てないことが大事。必ずチャンスは来る」とエールを送る山岸範宏さん=静岡県御殿場市

 J1参入プレーオフ(PO)の名場面となった2014年、磐田との準決勝での決勝点。ヒーローになった彼には一つの予感があった。「何かが起こる」。強いリーダーシップでクラブ2度目の昇格に導いた当時のGK、JFAアカデミー福島の山岸範宏GKコーチは「楽観的という意味ではなく、慌てないことが大事。同点の状態が続いたとしても必ずチャンスは来る」とエールを送った。

慌てず、チャンスは必ず

 5年前はシーズン途中の6月、初の移籍で山形に加入し正GKになった。終盤まで連勝はなかったが、「勢いではなく、やるべきことを全うすれば勝てる。その認識を共有し体現できていた」と、PO圏内の6位でリーグ戦を終えた。

 POの磐田戦は前半ロスタイムに追い付かれ、後半の途中で中心選手のFWディエゴが負傷退場した。メンバーを集め、「必ずチャンスが来るから慌てるな」と声を掛けた。耐える展開は続いたが、ルール上で引き分けでも勝者となる相手の「守りの姿勢」を見て、試合が動くという予感がした。

プレーオフ準決勝の後半ロスタイム、ヘディングシュートで勝ち越し点を奪ったGK山岸範宏さん(中央右・当時)=2014年11月、静岡県磐田市・ヤマハスタジアム

 まだ10分程度残っていた段階で、相手が時間稼ぎのボール回しに移った。「守りに入った時に運動量は落ち、全体の動きが止まる」―。付け入る隙だと感じた。そして後半ロスタイム、圧力を掛けてCKを獲得。すかさず攻撃に加わり、練習では一度も枠に飛ばなかったヘディングシュートを決めた。同じ6位から昇格した経験を基に、「ハードルの高さはあるが、どんな時も守りに入らず、チャレンジャーとして積み重ねを出してほしい」。一番伝えたいアドバイスだ。

 今季の山形の印象は「規律がしっかりしている。(守備が)堅い。ダブルボランチのハードワークが効いている」と言い、注目選手にFW山岸祐也やMF坂元達裕、MF中村駿らの名を挙げた。大舞台には想像以上の重圧が伴うため、「プレッシャーで硬くなっている自分を分かること、認めることが大事になってくる」。自身の指導者としての座右の銘と重ね、「今できることを精いっぱい取り組めば未来は開ける。家族も含めて好きな山形がJ1で戦えることを楽しみにしている」と激励した。

          ◇

 やまぎし・のりひろさんは埼玉県出身。中京大を経て2001年にJ1浦和に加入。クラブのJ1優勝に貢献した06年に日本代表に選出された。14年途中に山形に期限付き移籍し、J1昇格と初の天皇杯全日本選手権準優勝に貢献。15、16年は主将を担い、3季在籍した。J3を含むリーグ通算出場は258試合。18年限りで現役を引退し、現在は日本サッカー協会(JFA)が設立したJFAアカデミー福島の男子GKコーチを務める。41歳。

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