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低コスト、「サメ肌」の作成に成功 鶴岡・先端研などのグループ、3Dプリンターを活用

2019年08月19日 10:28
研究グループが作成した「人工サメ肌」
 水流の抵抗を減らすとされるサメの皮膚のざらついた形状を、慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市)などの研究グループが商用の3Dプリンターを使って、人工的に作成することに成功した。低コストで多量に再現でき、未解明な点が多い「サメ肌」の機能などの研究が進む可能性がある。グループは「生活、産業への技術応用につながる」と展望する。

 サメの皮膚には0.1~0.5ミリほどの複雑な形のうろこが並んでいる。鋭利な凹凸面で水流を制御しているとみられているが、詳しい機能は解明されていない。サメ肌をヒントにした競泳水着も話題になったが、実際の皮膚の形状とは大きく異なるという。

 作成に成功したのは同大環境情報学部4年安田侑史さん(24)と同研究所のガリポン・ジョゼフィーヌ特任助教(34)らのグループ。複雑な形状のうち、先端のとがった部分に注目し、微細な凹凸のデータを計測した。3Dプリンターに入力して型を作り、シリコンゴムを流し込んで完成させた。

 サメ肌を人工的に再現できれば、本物を採取せずに実験を重ねられる。今回の研究では、うろこの大きさを10倍に拡大して作成しており、微小な元のサイズでは解析困難だった水の流れも捉えやすくなった。

 サイズを拡大した分、水流の速度を遅くすることができ、観測に使うハイスピードカメラの性能も抑制できた。現在はカナダ・クイーンズ大で流体実験を進めている。

 3Dプリンターで人工サメ肌を作る先行事例はあったが、使用されたのは数千万円の機器。今回用いたプリンターは数十万円で購入できるという。「初期費用は100分の1。膨大な予算がある限られた人ではなくても簡単に再現できる」とジョゼフィーヌさん。作成法は6月、米国の科学専門誌ジャーナル・オブ・ザ・エレクトロケミカル・ソサエティー(電子版)に掲載された。

 安田さんはトライアスロンの選手で、「自転車に人工サメ肌を貼ったら空気抵抗はどうなるか」という思い付きが研究のきっかけになった。本物のサメが必要だったが、先端研に通う高校生の保護者や、ジョゼフィーヌさんが愛好する空手の関係者などで、漁業に縁ある地域の人々が届けてくれた。標本はネコザメ、アブラツノザメなど4種12匹が集まり、安田さんとジョゼフィーヌさんは「庄内の方々に感謝している」「地域の人のおかげで取り組むことができた」とコメントした。
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