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蚕の卵の保存庫「朝日風穴」そのまま 今なお低温、観光活用も期待

2019年08月17日 14:21
風穴の測量を行う参加者=8月3日、白鷹町黒鴨
 産業遺産に光を―。かつて県内有数の養蚕地帯だった白鷹町の唐松山に「朝日風穴」がある。明治時代後期から昭和初期まで蚕の卵の保存庫として使われていたが、近年は、その存在さえも忘れ去られようとしていた。白鷹山岳会などによる現地調査が今月初旬行われ、風穴が現在も原形をとどめ、低温な環境を残していることを確認。新たな史跡や観光資源にと関係者は期待を膨らませている。

 白鷹山岳会の伊藤隆事務局長(65)らが7月上旬、1975(昭和50)年代の地図を頼りに山を歩いた際に風穴を発見。産業遺跡の位置を記録に残し、活用法を探れないかと8月3日、町と町観光協会職員ら15人による現地調査が行われ、同行した。

 風穴は、同町北西部の黒鴨林道を車で約2キロ進み、30度ほどの急斜面を約20分登った場所にある。周辺には木や草が茂っており一見すると分からない。調査の参加者が発見場所周辺の草を刈り、倒れた木々などを取り除くと、すり鉢状の風穴が姿を現した。

 測量の結果、風穴は縦約15メートル、横約10メートル、深さ約4メートル。温度を調べると、山中が22度ほどあるのに対し、内部は10度前後と低く、底部は0度ほどで、冷涼な空気が山側の岩の間から漂ってきた。唐松山は、岩が積み重なってできたため、山にぶつかった風が、山の内部の岩の隙間を通って冷やされ、風穴から吹き出るからだという。

 風穴は養蚕業の衰退や、冷蔵庫の普及に伴い役目を終え、古い地図に名前を残すのみとなり、正確な場所が分からなくなっていた。

 町観光協会の加藤隆広さん(46)は「自然の不思議体験スポットなどとして活用できるのでは」と期待を込める。町商工観光課の大滝勇祐さん(43)は「養蚕が盛んだった土地の名残として貴重だ」と話した。

 調査の中心となった伊藤事務局長は「今回の調査を、風穴の今後を考える一歩にしていきたい」と語った。

朝日風穴 朝日連峰の一角、唐松山の北側斜面・標高493メートル地点にあり、1年を通じて10度前後の冷風が吹き出す。蚕の卵の低温保存庫として、1910(明治43)年ごろに石垣や小屋が建設された。50年代まで使われていたとみられる。
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