県内ニュース

検証・県議選2019-審判の行方(下) 吉村知事、静観姿勢貫く

2019年04月11日 12:35
立憲民主党の枝野幸男代表(右)を招いて開かれた石黒覚県議(左)の県政報告会。吉村美栄子知事(中央)はこの会に出席したものの、県議選告示後は静観し続けた=3月10日、酒田市
 県議会で知事与党会派の県政クラブに所属する現職石黒覚が、3月10日に開いた県政報告会。知事吉村美栄子は人口減少やインフラ整備の遅れなど本県の課題を挙げながら、300人超の支援者を前に声を張った。「県民の安心安全を守る取り組みなど実現したい施策は数多い。県政を支えてくれている石黒覚県議を今まで以上に支援してほしい」と。

 吉村は県議選が近づくと、県政クラブ所属の現職を中心に県政報告会に顔を出し続けた。しかし、3月中旬から表立った動きをピタリと止める。「3月上旬まで」。知事周辺は県議選に絡む活動に対して、当初から明確なエンドラインを設けていた。

 その後は各陣営に必勝の「ため書き」やメッセージを送るだけで静観した。選挙運動期間中に、最上郡区の新人などを積極的に支援した前回とは全く異なる対応だった。「勇退議員が多く、新人が多数当選してくる。色眼鏡を掛けず、慎重に付き合いを始めなければならない」と後援会関係者。見据えているのは、2021年冬に見込まれる次期知事選だ。

 今回の県議選は世代交代がキーワードの一つになったが、それは県政与党も例外ではない。代表の阿部昇司、副代表の広谷五郎左エ門が勇退し、会派の核を失った。特に阿部は10年前に吉村を知事に押し上げた立役者の一人。旧藤島町長の経験を持つことから「町長」と呼ばれ、会派内の意見調整のほか、執行部にアドバイスするなど事実上、知事の議会対策も担っていた。阿部は選挙直前の2月定例会で所属議員に「新しい会派の在り方について、話し合いをしてほしい」と宿題を出した。

 県議選の結果、立憲民主、国民民主、社民の3党や連合山形が推した当選者は改選前より1人増え、吉村は9日の定例記者会見で「心和む」と喜びを表現した。だが、会派は「知事を支える」という一点で集まる寄り合い所帯の感は否めず、主義主張もさまざま。再編の可能性すら否定できない。所属県議の一人は「県政クラブのそもそもの理念を守っていきたいが、革新系の色が突出してしまうと…。まずは集まってから」と案じる。

 一方の会派自民党は、ベテラン議員が相次いで勇退し改選前の議席を1減らしたとはいえ、絶対多数の状況は変わらない。次期知事選に向けては過去2回無投票当選を許してきただけに、主戦論が渦巻く。「県民の審判を受ける機会をつくらなければならない」「次はしっかり動く」…。多くの所属議員の思いは一致する。幹事長坂本貴美雄は「県政運営には是々非々で臨む。まずは目の前の市町村議選、参院選に向けて全力で戦う」と意気込む。

 その夏の参院選に向け、知事のスタンスが注目されている。3月2日に寒河江市内で開かれた県政クラブの現職松田敏男の県政報告会には、非自民系統一候補として参院選県選挙区に出馬予定の芳賀道也の登壇が予定されていた。だが、知事側の申し入れでニアミスさえも許さないスケジュールが組まれた。芳賀は会場到着後、人目に付かない場所に待機。吉村が車に乗り、会場を後にしたのを確認してから登場するという念の入れようだった。それほど、ナーバスになっていることがうかがえる。

 自民の4国会議員のうち、吉村に最も近いとされるのが、参院選で再選を目指す現職の大沼瑞穂。中央政界と吉村とのパイプ役を担っているともいわれる。一方、芳賀を擁立したのは県政与党の面々だ。知事後援会関係者は「(どちらを支援するかの)判断は非常に難しい」とうめく。吉村は9日の記者会見で参院選の態度表明について問われ「ほとんど考えていない」とはぐらかした。政治家としての決断の時が近づいている。

(本紙取材班、文中敬称略)

関連記事

by weblio


おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から