昔、昔、あったけど。
山寺山のふもとの村に、親父ど男子供の2人暮らしの家があったけど。
親父は酒飲みで、毎日酒飲まねでいらんないけど。
男子供は、山さ、たぎぎ拾いに行ってそいづば酒屋さ持っていって、酒と交換して親父さ飲ませっだんだけど。
ある日、たぎぎ拾いに行ったら、天狗が出できて、「あそごの岩の下の太い木の根元ば見ろ」ど言われだけど。
早速そごさ行ってみで、太い木の根元近くまで行ったら、プーンと酒のにおいがしてきたけど。根元を見だら酒湧いっだけど。
子供はその酒を汲んできて、親父さ飲ませだら、「(※)こだえ、んまえ酒、生まれで初めで飲んだ」ど言って喜んだけど。
それがら男子供は、毎日風が吹ぐべ、雨が降るべ、晩に飲む分だげ、何年が汲み続げだけど。
親父が年老いで死んでしまったれば、酒も枯れですまったけど。
子供は天狗が教えだ酒のため、親父を喜ばせで幸せに暮らすごどがでぎだけど。
親孝行すれば、不思議に、必ず良いごどが返ってくるもんだど。ドンビン