昔、あっどごさ婆さまど息子えだけど。息子ぁ親孝行で、婆さまどご大事えしったけど。ところが、この国の殿様ぁ年寄りどご大嫌えで、国じゅうさ「年寄り60なたら山さ捨てでこえ」てゆう命令出したけど。ほんでも息子ぁ「俺どご育ででくっだ親だもの、山さなの捨てらんなえ」て言って、婆さまどご(※)穴蔵ん中さ隠しったけど。
そのうず、隣の国の殿様がらこの国の殿様さ「打だねでも鳴る太鼓持て来え。持て来ねごんたらお前の国取ってすまう」てゆう手紙来たけど。殿様ぁたまげで、国じゅうさ「打だねでも鳴る太鼓持て来え、持て来たものには望み通りの褒美をくっでやる」てゆう立て札立でだけど。
ほんでも、「打だねでも鳴る太鼓なて、誰もこしぇらんなえけど。ほんで息子、婆さまさ聞いだけど。婆さまぁ「(※)ほがえだごど(※)造作ねごんだ。(※)雪隠さ行ってアブいっぱえしぇめで、ほれば太鼓さ入っでみろ。アブぶんぶん飛んで、太鼓どんどん鳴る」て言ったけど。
息子、ほの太鼓持て行ったれば殿様喜んで「何褒美ええ」て聞いだけど。息子ぁ「何にもえらね。ただ、年寄りどご山さ捨てろてゆう命令なぐしてけろ」て言ったけど。殿様ぁ「俺悪がった。今度ぁ年寄りどご大事えする」て言ったけど。とんびすかんこなえけど。