むがしのごどだけど。山の寺の和尚さまは(※)しびったれなもんで、法事で出だまんじゅうなど、小僧さ食せだごどながったど。その上、「このまんじゅうには毒が入っていっから、仏さまさ供えで、毒とってもらってるんだ」て言うて、小僧ば、おどしていだけど。
和尚さま、別の家の法事で行ったどぎ、小僧、本堂のご本尊さまさ供えであったまんじゅうば、みな食ってしまたど。和尚さま帰ってきて、「まんじゅう、みな食ったな」て小僧ば(※)ごしゃぇだら、小僧は「おれでない、本尊さま食ったなべ」。
「金仏の本尊さま、食うはずねぇ」。ごしゃぇだ和尚が、思い切って本尊さまば叩いだば、カーンていうど。
「ほら、本尊さま、食ねて言うどれ」て、和尚は言うたど。したら小僧は、「ほんじゃ、湯さ入っで、煮でみだらどうだべ」て言うもんだがら、大きな鍋さ入っで、ぐずぐずて煮だど。
したら、はじめは音も立てねがったげんど、やがて、湯がわいできて、クッタクッタていいはじめだど。小僧ぁ喜んで「和尚さま、和尚さま、やっぱり、ご本尊さまが食ったんだ。食った食ったて言うずもの」。
一本とらっだ和尚さま、次の法事からは、小僧にも食わせるようになったけど。とうびん。