昔ある所さ一づの村あったけど。その村では、いづころがらが、はっこい雪の降る12月ごろの(※)丑の日なっど、どごがの家火事で焼げるようなったけど。んださげ村の衆は、その丑の日近づぐど、生ぎだ気持ぢなぐなっけどや。
そして村の衆は、こうして火事続ぐなは、山の神様のただりでねがて思うようなったけど。そえで物知りの村の長者様さいってどうしたらいいが、みんなで聞ぎさいったけど。
長者様はしばらく考えでがら「これはやっぱり山の神様のただりにまぢげね。そのただりを静めるには、村の若い娘を神様さ供える事だど思う」て言うけど。村の衆もそう思って、そうする事したけど。
そして村はじれさ、貧乏だ父親ど暮らしていだ一人娘の「およし」をだまして、山の上の神様まで連れでいったけど。そごの大っき木さ、およしどごむりむり縛りつげだままして帰ってきだけど。
そのうぢ、丑の日なって、晩げなったば急に大風吹いできて、たぢまぢ大火事なったけど。村中火の海なって村中の家も長者様の家もみんな焼げでしまったけど。その長者様は逃げ遅れで焼げ死んでしまったけどや。ふしぎな事に村はずれのおよしの家だけ、ぽづんと残っていだけど。
トンピンカラリネッケド。