昔昔、河内という所あって、ある年、そごさ代官さん、年貢決めのため「検見」来るごどなったけど。そえで村中大騒ぎして、まず(※)肝煎の家さ泊めだでもの。
その晩げ、代官さん(※)据風呂さ入って、お湯がらあがって「据風呂、さげでもええぞ。さげれ」て言うけど。村の衆「さげれ」の意味分がらなぐで寄り合して相談したど。
「さげれでもの、上がら下ささげるごどだろや」てみんなして据風呂さ縄かげで天井がらつるしたけど。代官さん、それ見てたまげでしまったけど。
次の日の朝ま、代官さん起ぎで面洗うため「手洗水を回せ」て言ったけど、村の衆、まだ「手洗水」の意味分がらなぐで寄り合したけど。その中さ、物知りの男いで「長は長えの意味で、頭はあだまのごどださげ、長い頭の人でねがど思う」て言ったけど。みんな「んだ、んだ。しぇば村で1番頭の長んげなは三吉の親父ださげ、早ぐ連れでこいちゃ」て三吉、代官さんの前さ連れでこらっだけど。
さっぎがら、気もんでいだ代官さん「手洗水早ぐ回せ」て言っていだどごさ「今、回します」て、唐紙スウーとあげで三吉出はっできて、頭グルッと回したでもの。
代官さん(※)おぼげで「何しっどごだ。そげだもの回さねでいい。(※)けれ、けれ」て言ったば、三吉「こうでがんすが」でもんで、クルッと(※)かんばらしたけど。
トンピンカラリさんしょのみそ、けたっとなめればからいからい。