わいわい子育て

世界の子育て

パパ編 ヌール・エルディン・スルタンさん(エジプト出身、庄内町)

2020年3月17日掲載

 県内で暮らす海外出身者に、故郷の育児事情や家族観を紹介してもらう「世界の子育て」。パパ編の今回は、エジプト出身のヌール・エルディン・スルタンさん(48)=庄内町=に聞いた。

矢進ちゃんと彩菜ちゃんを抱っこするヌールさん、バヤンさん夫婦=庄内町
矢進ちゃんと彩菜ちゃんを抱っこするヌールさん、バヤンさん夫婦=庄内町

 ヌールさんはシリア・アレッポ生まれ。12歳の時に家族とエジプトに移住した。アレクサンドリア大を卒業後、青年省に勤務。パラリンピックの水泳コーチとして、アトランタとシドニーの両大会を経験した。来日は2001年、国際協力機構(JICA)のプログラムで、鶴岡市で水泳指導に当たったのがきっかけだ。

 16年にシリア出身のバヤン・カウダンさん(37)と結婚。長男矢進(やしん)ちゃん(2)、長女彩菜(さな)ちゃん(1)の2人の子どもがいる。庄内町をはじめ近隣自治体の国際交流活動にも積極的に協力している。

■結婚・仕事 結婚後、女性の半数家庭に入る

 エジプトは大学費用が無料なので進学する人が増えているが、仕事が少ない。海外に出る人も多い。男性、女性とも20~30歳くらいで結婚する人が多い。イスラム教徒が9割を占めるエジプトでは一夫多妻制が認められ、4人まで結婚できる。今は1人と結婚する人が多いが、友人には2人と結婚した人もいる。結婚式は家族や友達を大勢招待し、午後7時ごろから深夜までにぎやかに過ごす。結婚後、女性の半数ほどは仕事を辞めて家庭に入る。

■エジプトの学校 勉強量多く日本より難しい

6歳で小学校に入学し、日本のように小学校6年間、中学校3年間、高校3年間となっている。授業は9月~翌年5月までで、夏休みは4カ月間。勉強は量が多く、日本の3倍は難しい。小学校でも試験をパスしないと進級できない。私の周りにも進級できない人は結構いた。試験では教科書の範囲外の内容も問われるので、家庭教師を付けている人が多い。だから、教育費は日本よりもかかって大変。

■休日の過ごし方 路地でスポーツ

 エジプトには日本のようにあちこちに公園がなく、路地でスポーツを楽しむ人が多い。裕福な人は、スポーツクラブに行く。エジプトのスポーツクラブは水泳やサッカー、テニス、ゴルフ、スカッシュ、レスリングなどさまざまなスポーツを楽しめる設備や教室が整っている。

■バヤンさんから 日本は育児しやすい

 日本は定期健診や子どもの遊び場、支援センター、児童手当など環境が整っていてとても子育てしやすい。レストランでも子どもを一人と数え、席を用意してくれるのに驚いた。周りの人たちが子どものことを気に掛けてくれ、サポートしてくれるのでありがたい。

■ヌールさんの子育て 将来のため多言語習得

自宅で飼っているヤギ。彩菜ちゃんは動物が大好きで一緒に遊んでいる
自宅で飼っているヤギ。彩菜ちゃんは動物が大好きで一緒に遊んでいる

 エジプトでは父親が仕事、母親は家事や子育てと分担している。シリアでもそう。子どもの世話は基本的に妻がしているが、私も子どもを背中に乗せてお馬さんごっこをしたり、子育て支援センターに連れて行って一緒に遊んだりしている。長女は自宅で飼っているヤギやニワトリも大好き。

 子どもたちには家族やきょうだいを大事にする人に育ってほしい。日本人は大人になると親とコミュニケーションをあまり取らなくなるが、エジプト人は家族をとても大切にする。私も週3回はエジプトの両親と電話する。きょうだいたちはエジプト、中国、サウジアラビアとばらばらだが、やはり頻繁に連絡している。子どもたちにもそうなってほしい。あとは多くのエジプト人が望むように真面目で、宗教を守り、正しい道を進んでもらえれば。

 世界中どこでも働けるように、さまざまな言語を習得してもらいたいと考えている。自宅ではエジプトの公用語のアラビア語と英語、日本語で会話をしている。妻の弟がドイツにいることもあり、妻はドイツ語も教えたがっている。自分自身、来日した際に言葉の壁を感じたので、言語はすごく大事だと思っている。

■宗教 イスラム教1日5回礼拝

 イスラム教徒は1日5回礼拝をする。太陽の位置によって時間は変わり、3月9日の場合、午前4時31分、同11時50分、午後3時8分、同5時43分、同7時4分。宗教のことは子どもにも少しずつ教えている。1年にひと月訪れるラマダン(断食月)も、5歳から徐々に練習し、8歳ごろから実際に日の出前から日没まで断食する。

 女性は中学生ぐらいからヒジャブ(女性用スカーフ)を身に着ける。ヒジャブを着けていない時は写真も撮っては駄目。日本ではイスラム教の戒律に沿ったハラルフードが手に入れにくくて大変。すしが好きでよく食べに行くが、酒が入っていないしょうゆを持参している。

シリアの家庭料理 ズッキーニとラムひき肉の炒め物

 バヤンさんが紹介してくれたのは、シリアでよく食べられているという料理。ズッキーニにヨーグルトソースを掛け、チキンスープで炊いたご飯と一緒に食べる。手軽に作れるアラブ料理に挑戦してみては。

ズッキーニとラムひき肉の炒め物
ズッキーニとラムひき肉の炒め物

◇材料(2人分)

 ズッキーニ3本、ラムひき肉100グラム、ヨーグルト100グラム、おろしニンニク、ホワイトペッパー、ジンジャーパウダー、オリーブ油、米1.5合、鶏肉100グラム、チキンスープ、塩、こしょう

◇作り方
  • (1)ご飯をチキンスープで炊く。スープの量は水で炊くより少し多めにする。鶏肉をゆでて塩とこしょうで味付けしてほぐし、炊き上がったご飯に混ぜ込む。
  • (2)ズッキーニは輪切りにし、オリーブ油で炒め、ホワイトペッパー、ジンジャーパウダー、塩、こしょうで味付けする。いったん取り出し、ラムひき肉も同様に炒め、ズッキーニと合わせる。
  • (3)ヨーグルトに好みの分量のおろしニンニクと塩を混ぜ合わせてソースを作る。
  • (4)皿にご飯とヨーグルトソースを掛けたズッキーニを盛り付けて完成。
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