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生理、コントロールする時代 レディスクリニック(山形)の高橋院長に聞く

2021年5月18日掲載
あかねケ丘高橋レディスクリニックの高橋一広院長=山形市
あかねケ丘高橋レディスクリニックの高橋一広院長=山形市

 生理に伴う痛みや不調などのトラブルは、育児や家事、仕事にも影響してしまう悩みの種だ。ついイライラして子どもを怒ってしまったり、あちこちが痛くて子どもと楽しく遊べなかったりというママもいるのでは。妊娠を考えていなければ低用量ピルの服用や、子宮に装着する「子宮内黄体ホルモン放出システム(子宮内システム)」の活用で負担を減らす選択肢もある。どんなメリットやデメリットがあるのか、あかねケ丘高橋レディスクリニック(山形市)の高橋一広院長(60)に話を聞いた。



「生理(月経)がつらい」と相談に訪れる女性は多い?

 月経痛、イライラや気分の落ち込みなどの月経前症候群(PMS)を訴えて来院する女性は多くいる。一般的に産後に月経が軽くなったという報告があるが、人によってひどくなったり軽くなったりと個人差がある。10、20代は主に月経痛、30、40代になると月経痛に加えて月経量の多さも訴える人が多い。

月経痛が起こるメカニズムは?

 排卵する頃になると子宮内膜が厚くなり、受精卵が着床しやすい状態になる。この子宮内膜がはがれるのが月経で、子宮内膜から痛みの原因物質であるプロスタグランジンが出され、生理痛や頭痛、腹痛を引き起こす。子宮内膜のはがれる量が多いと月経過多や貧血の原因となる。

ピルはどんなもの?どんな人にお薦め?

 エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)の2種類の合剤で、周期的な内服が必要。避妊効果だけでなく、子宮内膜が厚くならないように抑制するので、月経量が少なくなり月経痛が改善される。PMSを軽減する効果もあるのが特徴だ。ピルで排卵を抑制し月経量を減少させても、後の妊娠出産には全く影響を与えない。

 ただ、頻度は少ないが血栓症を起こす場合がある。また、ギラギラした光が見えるなどの前兆がある片頭痛持ちの人、血栓症のリスクが高い35歳以上で1日15本以上たばこを吸う人は使えない。薬を飲むのが面倒でない人にはいいだろう。

子宮内システムってどんなもの?

子宮内に装着して使う子宮内黄体ホルモン放出システムの見本
子宮内に装着して使う子宮内黄体ホルモン放出システムの見本

 幅や長さが3センチほどのT字形をした軟らかいプラスチック製フレーム。子宮内に装着すると、縦の軸の部分から5年にわたって黄体ホルモンが放出される。子宮内膜が厚くならないように抑制する力が強力で、月経量を減少させ、それに伴う月経痛が改善される。排卵抑制作用も少しある。

 子宮内に入れる際に痛みがあったり、入れる際に頻度はとても少ないものの子宮の壁に穴を開けてしまうことや、挿入後に子宮内感染症を起こすこともあり得る。不正出血することもあるが少量だ。ピルを使えない人や、飲むのが面倒な人、基本的に今後の妊娠を考えていない人にはお薦め。ピルもだが、月経痛や月経量が多い場合は保険適用となる。

悩んでいる女性にアドバイスを

 日常生活に不都合がない女性には必要ないが、月経痛がひどい、量が多くて仕事や勉強、スポーツに支障を来す、月経前になるとイライラや落ち込みなどでつらい、避妊に失敗したくないという女性にとって、ピルや子宮内システムは、日常生活を快適に過ごすための有効なツールだ。

 月経痛の治療目的で相談に来る中高生や10、20代の若者たちはピルに抵抗はないようだ。避妊教育の広がりや、インターネットで簡単に情報を集められることが背景にあるかもしれない。一方、付き添いで来院した親世代に抵抗を感じる人が多いようだ。

 今までは月経に関連する症状で、月の半分ほどを憂鬱(ゆううつ)に過ごしてきた女性も多いと思う。月経に振り回されていたかもしれないが、これからは自分のライフスタイルに合わせて、自分で月経をコントロールする時代。月経によって勉強(試験)や仕事、スポーツで十分な実力を発揮できなかった人、旅行やレジャーを楽しめなかった人もいると思う。コントロールすることでもっと充実した毎日を過ごしてほしい。

 子育て中のお母さんは子ども第一で、自分の体のことは二の次になっているかもしれない。自分の心と体がちゃんとしていなければ子育てにいい影響はない。子育ては自分の体づくりから。医療は進み、選択肢は増えている。PMSでイライラがひどければ抗うつ薬を使うこともある。悩みがあればいつでも産婦人科に相談に訪れてみてほしい。月経量が多い時でも、いつでも受診したい時に受診してほしい。

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