わいわい子育て

教えて!先生

新環境のストレス、どうケア? 県公認心理師、臨床心理士協会会長・伊藤さんに聞く

2020年4月21日掲載

 4月は入学やクラス替えがあり、子どもたちも大人同様、新しい環境に緊張する時期だ。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため臨時休校が続き、先が見えない状況に戸惑い、不安を感じている子もいるだろう。家にこもりがちになり、学校に行けなかったり、友達と会えなかったりしてたまるストレスや、学校再開後の不安を少しでも和らげてあげたいというのが親心。子どもをどうケアするか、県公認心理師・臨床心理士協会会長の伊藤洋子さん(55)=山形市=に聞いた。

ストレスをため込んだ子どものケアについて説明する伊藤洋子さん=山形市
ストレスをため込んだ子どものケアについて説明する伊藤洋子さん=山形市
-子どものストレスはどのようなものか。

 「家と違うソーシャル(社会的)な環境では、最初は特に、緊張して頑張っています。『いつもと違う状況』に置かれることでストレスを感じます。小学校低学年であれば、ストレスが頭痛や腹痛などの身体症状に出ることはよくあります。小さい子はストレスに気付きにくいため、頑張りすぎをセーブしたり、ストレスを解消しにくかったりするものです」

-どう対処すればいいのか。

 「予防するポイントは、頑張りすぎないことと、その日のうちに疲れを取ること。お子さんがぼーっとしたり、イライラしたり、話さなくなったり、『いつもと違うな』と思ったら放っておかず、ゆっくり休ませてください。ご飯を子どもが好きなメニューにしたり、抱っこなどスキンシップをしたり、楽しく遊んだりし、しっかり寝かせてください。そうして安心できれば、心のエネルギーがたまり、元気が出てきます」

-気弱なときは励ましてあげたいけれど…

 「悩みや不安を告げた時に親から『もっと頑張りなさい』『気にしすぎじゃないの?』という言葉をかけられると、子どもはつらい気持ちが否定された、受け入れてもらえないと感じてしまいます。新1年生ならば『もう小学生なんだから』という一言がストレスになることもあります。まずは、つらい気持ちをじっくり聞いてあげてください。子どもは『自分の話を聞いてくれた。自分のつらさを理解してくれる。何かあったときは助けてくれる』と安心します。その思いで、目の前の困難を乗り越えられる場合もあります」

-子どもの訴えをうのみにしてしまっていいのか。

 「親は自分の子が第一でいいのです。身を守ろうとしてお子さんがうそをつくこともあるかもしれません。なぜうそをつくことになったのか、その背景を考えてください。うそだと思っても『そう思ったんだね』と一度聞いてください。問い詰めたり、後日蒸し返したりせず、『本当のことを言ったら怒られると思ったのかな』などと心の中で思いを巡らせてみてください。うそはSOSです。子どもの環境を安全にしてあげないと、子どもが困っている状況は解決しません」

【学校生活ワンポイントアドバイス】

 歯は永久歯が生えたら一生付き合っていくもの。子どもたちにも生涯自分の歯で食事を楽しんでもらいたい。吉田先生に子どもの虫歯予防についても尋ねた。

■新しい環境が始まって1カ月ほどたつとストレスがたまって出てくる「五月病」。今年は“六月病”かも!?―身体症状続けば小児科に

 五月病は医学的な病名ではありません。気力や体力といったエネルギーが枯渇し、疲弊した状態を五月病と呼んでいます。なんとなく具合が悪い、気持ちが落ち込むといった心身の不調が出ます。頑張っている時に連休に入り、再び登校となった時に気持ちが立て直せなくなるのでしょう。環境の変化は喜ばしいものであってもストレスになります。身体症状が2~3日続いたら、小児科を受診しましょう。学校を1週間休むようなら、先生やスクールカウンセラーに相談しましょう。

■「学校に行きたくない」「学校がつらい」と言われたら?―どーんと構え寄り添う

 親はどーんと構えてください。親も「このまま登校できなくなるかも」と不安で動揺するでしょうが、こうした動揺は子どもにとても伝わります。子どもに寄り添い、気持ちに共感することが肝心です。学校を休んでもいい、頑張り続けなくてもいいと教えてあげてください。逆効果なのは、甘やかしてはならないと無理やり引きずってでも学校に連れていくこと。子どもを追い詰めてしまいます。

■「いじめられている」と子どもが訴えたら、先生にどう伝える?―そのまま話してみよう

 お子さんが訴えていることをそのまま先生にお話ししてはどうでしょうか。子どもがこう言っています、と。子どもが嫌なことがあったと思っているのは事実なのですから。先生に『子どもを見守ってほしい。声を掛けてほしい』とお願いするのもいいと思います。

■休校が続く非常事態に不安定になっている子どものケア―一緒にリフレッシュ

 親子で一緒にできるリフレッシュ方法を考えてみましょう。料理や片付け、散歩、筋トレなど、普段はできなかったことに挑戦してみたり、家でできる楽しみを増やしたりしてみましょう。アスリートや芸能人がさまざまなアイデアをインターネットにアップしているので、やってみるのもいいでしょう。友達と電話でしゃべるのもいいですね。

[PR]