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妊娠中の口腔ケア 県立こども医療療育センター・吉田先生に聞く

2020年4月21日掲載

 妊娠中の女性は、女性ホルモンの変調やつわりなどで口腔(こうくう)内のトラブルが発生することがある。放っておくと出産に影響する可能性もある。歯と口の健康を保つためにはどんなことに気を付ければいいのか。11月8日の「いい歯の日」を前に、県立こども医療療育センター(上山市)の歯科医長・吉田雪絵先生に聞いた。

県立こども医療療育センター・歯科医長吉田雪絵先生
県立こども医療療育センター・歯科医長吉田雪絵先生

 歯を支える骨が溶けてしまう歯周病は妊婦が注意したい病気だ。早産のリスクが高まる恐れがある。歯周病原菌を撃退するために免疫機能が作り出す物質が、子宮を刺激することが要因と考えられている。初期の段階は痛みを伴わず、知らない間に進行してしまう。たかが歯の病気と侮ってはいけない。

 これら口腔内のトラブルを予防するには、日々の歯磨きや定期検診で歯垢を除去することが大切になる。

 もし発症してしまったら、早めの対処を心掛けてほしい。妊娠後期になると通院したり、あおむけの状態で治療を受けたりすることが難しくなる。口の中の異変に気付いたら診察を受け、不安があればささいなことでも医師に相談してほしい。

 3、4カ月ごとの定期検診が望ましいが、妊婦はそうもいかないので、特に問題がなくても安定期に入ったら歯科医院を受診することをお勧めしたい。

 普段のブラッシングが大切だが、妊娠中は思うようにいかないときもあるだろう。「つわりがひどくて歯磨きができない」という場合は、小まめにうがいをしよう。体が拒むのに「歯を磨かなければいけない」と気負うことはストレス。何もしないと虫歯になるリスクもあるので、うがいを重ねて汚れを洗い流そう。

 ヘッドが小ぶりの歯ブラシもあり、妊婦にお勧め。歯科クリニックなどで購入できる。口に入れたときの違和感が少ないので、積極的に活用してほしい。

【子どもの虫歯予防】めりはりある食習慣身に付けて

 歯は永久歯が生えたら一生付き合っていくもの。子どもたちにも生涯自分の歯で食事を楽しんでもらいたい。吉田先生に子どもの虫歯予防についても尋ねた。

 まず大切なのは、めりはりのある食習慣を身に付けさせることだ。食事をすると、口内の虫歯菌が食べ物を分解して酸をつくる。歯の表面は溶かされてしまうが、唾液などの作用で時間の経過とともに再生される。これを再石灰化というが、間食であめやお菓子を食べる状態が続くと、再石灰化が間に合わず、最終的には歯に穴が開いてしまう。これが虫歯だ。間食の時間を決めて、だらだら食べ続けないようにしたい。

 何より大事なのは食後の歯磨き。磨き残しを無くすため、幼いうちは保護者が最後の仕上げをしてあげよう。習慣になるまでは嫌がることもある。「10数えるまでね」「(ママ、パパが)歌い終わるまでね」と、時間を区切って楽しく歯磨きできる工夫をするといい。

 仕上げはあおむけの状態で。奥歯は磨き残しが多いので、指で唇を広げるなど奥までしっかり見える状態でやるといい。6歳ぐらいになってから乳歯の奥に生える永久歯(6歳臼歯)は、虫歯になりやすい。虫歯予防の歯磨き粉を使うのもいい。

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