夏の肌、対策しっかり つばさ皮膚科(東根)橋本院長に聞く
いよいよ夏本番。照り付ける太陽、流れる汗。外出中、気づかないうちに日焼けして肌が赤くなった…なんて人もいるのでは。特に乳幼児は大人に比べてバリアーの役割を担う角質層が薄く、注意が必要だ。今回の「教えて! 先生」は、つばさ皮膚科(東根市)の橋本秀樹院長に夏の肌対策について聞いた。
【日焼け】曇りの日も日焼け止め塗って
子どもは細胞分裂が盛んなため、紫外線の影響を受けやすい。真っ黒に日焼けした方が健康優良児と考えられていたが、今は違う。1998年以降、母子手帳から「日光浴」の記載はなくなった。過度な日焼けは避け、適度に日に当たることが大切だ。
午前10時~午後2時までに1日の半分以上の紫外線が降り注ぐ。曇りの日でも紫外線量は晴れた日の半分以上あるので油断大敵。赤ちゃん用の日焼け止めクリームなどをしっかり使ってほしい。塗りすぎが気になる人がいるかもしれないが肌への負担は少ない。紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)の製品を推奨する。こども用と明記して販売されているものはこのタイプとなっている。
【虫刺され】刺されたら冷やす、爪は短く
対策としては虫よけスプレーが一般的だが、肌が弱い子にはシールタイプのものもある。刺された場合は保冷剤を包んだタオルなどで患部を冷やすとかゆみが抑えられる。 かゆいからといって引っかきすぎると、皮膚の傷口から細菌が繁殖し、周囲に感染していく病気「伝染性膿痂疹(のうかしん)」(通称とびひ)になる恐れがある。水膨れができる「水疱(すいほう)性膿痂疹」は7歳未満の乳幼児がかかりやすい。爪を短く切り、肌を傷つけないようにしてほしい。
【あせも】できる限り早く汗を落とす
汗腺の数は大人になっても変わらない。体表面積が小さい赤ちゃんは汗腺の密度が集中しており、汗をかきやすい。スキンケアで一番大切なのはできる限り早く汗を落とすこと。強くこすると皮膚を痛めて炎症を起こす可能性があるので優しく拭き取ってあげること。
あせもとアトピー性皮膚炎を見分けるのは素人には難しい。強いかゆみを伴う場合は勝手に判断せず、病院を受診してほしい。汗をかくことは体温調整などの面で重要だが、肌が刺激を受けてあせもやアトピー性皮膚炎が悪化することもある。汗を皮膚に長くとどまらせないように意識して。
ハーブウオーターなどで手作り
乳幼児に市販薬を使うのに抵抗がある人は、アロマオイルや、ハーブを蒸留して精油を抽出する際にできるハーブウオーターを使ったケアはいかが?植物成分なので安心して使えるのが特長。橋本こどもクリニック(山形市)の助産師で、アロマ教室も開いている橋本郁子さんに、虫よけスプレーと虫刺されジェルの作り方を聞いた。材料はハーブ専門店などで手に入る。
■虫よけスプレー
- (1)スプレーボトルに無水エタノール20ミリリットルと、精油計20滴(虫が嫌う香りのユーカリ・レモン10滴ほどにレモングラスやシトロネラ・ジャワ、ラベンダー、ゼラニウム・エジプトなどを好みで合わせる)を入れて混ぜる。
- (2)精製水30ミリリットルを加えてさらに混ぜる。※精油は代謝が未熟な3歳未満児には刺激が強いため、服や靴に吹き掛ける。布にスプレーしてベビーカーにぶら下げるのも良い。
■虫刺されジェル
- (1)容器に中性ジェル10グラムを入れる。
- (2)傷のケアにも効果的なユーカリ・レモンとラベンダーのハーブウオーターを5ミリリットルずつ加え、混ぜ合わせる。 ※ハーブウオーターは精油より効果は弱いが、赤ちゃんに安心して使える。使用前にパッチテストを行う。敏感肌やアレルギーがある場合は注意が必要。