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予防接種デビューはなるべく早く 中井伸一医師(山形)に聞く

2014年12月2日掲載

 10月1日から水痘(水ぼうそう)が定期接種になるなど、乳幼児が受ける予防接種の数が増えている。 接種回数が間隔を置いて複数回というワクチンも多く、「スケジュール管理が大変」と感じている母親もいるのでは。 重症化したり、死に至ったりことがある感染症から子どもを守るためのワクチンだが、「副作用が心配」という声も根強くある。 中井こども医院(山形市花楯1丁目)の中井伸一医師に予防接種の重要性と上手に受けるための心構えを教えてもらった。

「医師と相談しながら、早めに受けてほしい」と話す中井伸一医師
「医師と相談しながら、早めに受けてほしい」と話す中井伸一医師
 Q.予防接種はなぜ必要?

 A.後遺症が残ったり死に至ったりするような病気を防ぐためだ。例えば、はしかは千人に1人の割合で脳炎を発症し、後遺症が残る。 水ぼうそうも割合は少ないといえ、脳炎になり、死に至ることもある病気だ。ワクチン1本で救うことができる命があるということだ。

 Q.任意接種のワクチンも受けるべきか?

 A.定期接種か任意接種かは国の財政に関わる部分があり、任意だろうと必要性は一緒だ。 小児科の専門医に話を聞きながら、きちんと受けて自分で自分の子どもの命を守ってほしい。

 Q.スケジュール管理が大変だ。

 A.スケジュール表を必ず渡している。スマートフォンのアプリを使っている母親も多い。 時期がくるとメールで教えてくれるものもあるようだ。ただ、ワクチンはどんどん変わっているので、その都度医師に確認すること。

 Q.体調やアレルギーのことなど予防接種を受ける際に気を付けることは?

 A.基本は体調の良い時に受けること。37度5分以上の熱があると接種できない。 ただ、1日のうちでも熱が高い時間帯があるので、かかりつけ医と相談してほしい。アレルギーについても不安があれば、医師に相談すること。

 Q.予防接種を受けた日はどのように過ごせばよい?

 A.特別に疲れることをしなければ、普段通りに生活して大丈夫。お風呂も入っていい。接種箇所はこすったりもんだりしない。 体調に変化があった場合は、医師の診察を受ける。

 Q.ワクチン接種による副作用が心配だ。効率よく進めるために同時接種も欠かせなくなっているがデメリットはないのか。

 A.多少熱が出たり、接種した部分が腫れたりすることはある。日本は副作用に敏感だが、こうしたことは海外では当然と受け止められる。 同時接種も、デメリットは接種箇所が増えることで接種時の痛さが増えるということくらいだ。

 ワクチン接種が遅れればそれだけ病気にかかる危険性は高くなるわけで(病気の重症化や後遺症の危険性などを考えれば)ワクチンデビューはできるだけ早いうちにしてほしい。そこから子どもの体は守られる。 まず、かかりつけ医をつくり、医師と相談しながら自分で納得して進めることが大事だ。

メモ

 定期接種は対象年齢の間に受ければ自己負担がない。 10月から始まった水痘に加え、ヒブ、肺炎球菌、4種混合(ジフテリア、百日ぜき、破傷風、ポリオ)、麻しん風しん混合、日本脳炎、BCGが対象となっている。任意接種のおたふくかぜやロタウイルスも、定期接種に向けた検討が進められている。

 予防接種の受け方については行政にも相談があるが、山形市の担当者は「ヒブなど最初に受けるワクチンを伝えている。一度小児科で受ければそこからはルートに乗って受けられるようだ」とする。 接種漏れについては乳幼児健診や訪問などでフォローしているという。

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