わいわい子育て

アラカルト

世界の弁当、こんな中身 本県在住・外国出身者に聞きました

2022年11月1日掲載

 愛するわが子のため、手間をかけたくなる弁当作り。日本ではおいしさ、栄養、彩りなどを頑張る親たちが多い印象がある。一方で料理が苦手だったり忙しかったりで、弁当作りに悩む人も少なくないはず。世界ではどうだろう。本県在住の外国出身者たちに自分や友人が作った弁当を紹介してもらいながら、各国の弁当事情について聞いた。多種多様な弁当に触れ、ヒントにしてみては。

インドネシア

ペトルス・ヤサヤ・サモリさん

 インドネシア・パプア州出身のエンジニア、ペトルス・ヤサヤ・サモリさん(33)=米沢市。

 地域にもよりますが、学校などに弁当を持って行く子どもは少なく、屋台や食堂で売っている弁当を買って食べるのが一般的。お母さんが子どもに弁当を作るのはまれです。写真の弁当は屋台などの弁当をベースに作ってみました。

ルンダン(牛肉)、テンペ(大豆発酵食品)、サンバル(唐辛子ペースト)、ミーゴレン(焼きそば)
ルンダン(牛肉)、テンペ(大豆発酵食品)、サンバル(唐辛子ペースト)、ミーゴレン(焼きそば)

 インドネシアではご飯の上に麺を載せます。ご飯が主食で、麺がおかずという感覚です。ピーナツを乗せるのも普通。栄養はある程度考えますが、彩りはあまり気にしません。ほとんどが茶色いおかずです。インドネシアの子どもたちに人気のおかずは揚げ煮卵です。

米国

スーザン・エドワーズさんとジョン・エドワーズさん
スーザン・エドワーズさんとジョン・エドワーズさん

 米国・ニューヨーク州出身でともに宣教師のスーザン・エドワーズさん(57)とジョン・エドワーズさん(58)夫妻=尾花沢市。

 サンドイッチやラップサンド、フルーツ、ニンジンやキュウリなどの生野菜というのが定番。ポテトチップスやヨーグルト、グラノーラバーなどを持って行く人も多いです。米国に住む子育て中の友人は「体にいい食べ物と子どもが食べたいもののバランスに困っている」と話していました。忙しい人は簡単に済ませることが多いと思いますが、ネットで見つけたきれいな弁当をまねたり、日本のキャラ弁のようなサンドイッチを作る人もいます。

 私たちは日本で子育てをしました。子どもが幼稚園時代、ご飯とおかずがきれいに入っているヘルシーな日本風の弁当も作りました。大変でしたが、いい経験です。

クモの形のサンドイッチ、メロン、チョコレート、ヨーグルト、バナナマフィンの弁当
クモの形のサンドイッチ、メロン、チョコレート、ヨーグルト、バナナマフィンの弁当
サンドイッチ、生のニンジンとキュウリ、リンゴ、ポテトチップスの弁当
サンドイッチ、生のニンジンとキュウリ、リンゴ、ポテトチップスの弁当

オーストラリア

ディーン・ブレーさん
ディーン・ブレーさん

 オーストラリア・スワンヒル出身の山形市国際交流員ディーン・ブレーさん(50)=山形市。

 オーストラリアは給食がないので、子どもたちは毎日弁当を持って行きます。毎日なので火を使った料理はあまりせず、生で食べられるものを用意することが多いです。温かい料理は冷めるとおいしくないしね。ハムやチーズ、レタスを挟んだサンドイッチ、フルーツ、おやつのセットが一般的かな。下の写真はスナック菓子がたくさんですが、先生はうるさく言いません。カリフォルニアロールのような太巻きも人気なので、キュウリやツナを巻いて持って行く人もいます。

 オーストラリアは移民を受け入れてきた移民国家で、多様性が特徴です。弁当もそう。ベトナム系ならフォー、イタリア系ならパスタ、ギリシャ系はスブラキ、中国系は麺料理を弁当にします。これがオーストラリア料理というのがないのもあって、国に関係なく、みんながさまざまな料理を弁当でも楽しんでいます。

ピンク色のランチボックスに入っているのはクラッカー、チーズ、ソーセージ、スイカ、キュウリ、ブルーベリーとラズベリー、アボカド。ハムとサラダのロール、手作りマフィン、リンゴ
ピンク色のランチボックスに入っているのはクラッカー、チーズ、ソーセージ、スイカ、キュウリ、ブルーベリーとラズベリー、アボカド。ハムとサラダのロール、手作りマフィン、リンゴ
ピンク色のランチボックスに入ったサンドイッチ、リンゴ、クッキー、6種類のスナック菓子
ピンク色のランチボックスに入ったサンドイッチ、リンゴ、クッキー、6種類のスナック菓子

アルゼンチン

リカルド・ダルイチさんと唐沢梨紗さん
リカルド・ダルイチさんと唐沢梨紗さん

 アルゼンチンのサン・ミゲル・デ・トゥクマン出身のシステムエンジニア、リカルド・ダルイチさん(32)と妻の獣医師唐沢梨紗さん(29)=山辺町。

 アルゼンチンには弁当文化がありません。子どもたちは学校や幼稚園では食べません。授業時間が短く、お昼を挟んで授業をすることがないからです。日本の学生は長時間勉強をしてすごい。

塩で味付けした牛肉、ゆでたジャガイモとニンジンをマヨネーズであえたもの、ご飯
塩で味付けした牛肉、ゆでたジャガイモとニンジンをマヨネーズであえたもの、ご飯

 弁当を作るなら、お肉とご飯にジャガイモやサラダを添えたようなものかな。アルゼンチンでは牛肉をたくさん食べます。牛肉は1キロ500円くらいで売っています。写真の弁当は薄切り肉を使っていますが、アサードというシンプルに塩コショウで味付けした牛ステーキをよく食べます。添えているのは、ジャガイモとニンジンをゆでてマヨネーズであえたもの。妻の立場から言うと、弁当を作る文化がないのはとても良いと思います。

ご飯中心で考えると楽 簡単な卵料理に冷食も上手に活用

 やまがた食育ネットワーク代表で管理栄養士の岡田まさえさん(天童市)に弁当作りのアドバイスを聞いた。

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 三大栄養素の一つの炭水化物をしっかり摂取できるご飯がポイントです。小学校低学年くらいの場合、子どもサイズのおにぎり2個のご飯量(約180グラム)で、1食に必要な栄養の50%ほどが取れます。ご飯中心の弁当を考えれば楽ですよ。あとは、彩りも考えて簡単なゆで卵やスクランブルエッグに、冷凍食品を上手に使えば十分。かわいいふりかけなども子どもが喜びます。

 忙しくて時間に追われる親も多いでしょう。無理してイライラしたりつらい顔を見せたりしたら、子どもの心の栄養にはなりません。子どもたちが一番欲しいのは親の優しさや愛情。調理に手間をかけずとも、子どもと一緒に買い物に行って好きなおかずやふりかけを買ってあげれば、ちゃんと愛情が伝わりますよ。

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