わいわい子育て

アラカルト

家庭内事故、どう対処

2022年2月1日掲載
酒井由美子さん
酒井由美子さん

 子どもと過ごす時間は、安全で安心できる環境を整えたいと考えるのではないだろうか。子どもの死亡原因は事故が病気を上回り、その中でも家の中の事故が多いという。冬季は家にこもる日が増え、なお目が離せない。助産師の酒井由美子さんと、山形市消防本部救急救命課課長補佐の後藤裕さんに、自身が見聞きした事例を含め家庭内での事故の対処法、受診や119番通報の目安を聞いた。

 「昨日できなかったことが今日できるのが子ども。子ども目線で危険を確かめて」と酒井さん。特に2~3歳は行動範囲が広がり、好奇心の塊で怖いもの知らず。何でも自分でやりたい時期だ。「炊飯器から出てくる蒸気を触る」「火の付いた花火を握る」「卓上こんろの鍋をひっくり返す」など、大人が思いも寄らない行動をする。一方で、子どもの事故はほとんど予防できるそうだ。後藤さんは「誤って飲み込んでしまいそうなもの、けがしそうなものは触れる場所に置かない。成長を確かめながら、子どもの手が届く範囲から危ないものを取り除いて」と呼び掛けた。

酒井由美子さん―「いつもと違う」に注意

 酒井さんは元市立病院済生館看護師長で、県救急電話相談の相談員を務めた経験がある。現在はNPO法人やまがた育児サークルランドのアドバイザー。

 「『なんだかいつもと様子が違う』と勘が働いたときは、よく子どもを見てほしい。特に話せないうちは子どもに寄り添って」と注意を呼び掛ける。ハインリッヒの法則を紹介し、一つの重大事故の裏に29の軽微な事故、その背後に300のひやりとする出来事があると指摘する。子育て世代には、「3歳まで肌を離さず、7歳まで手を離さず、13歳まで目を離さず、19歳まで心を離さず」との言葉を贈った。

後藤裕さん―迅速な処置が大切

後藤裕さん
後藤裕さん

 後藤さんは救急の現場を20年ほど担当してきた。過去にはストーブをひっくり返したり、灰皿代わりにしていた空き缶の中の水を飲んだりといった事例はあったが「関心を持って気を付けている家庭が多く、事故は少なくなった」と話す。子どもの救急通報は、骨折や切り傷が多いという。

 もし心停止となれば、心肺蘇生法などの救命処置が重要だ。「早く始めれば助かる可能性を上げる。迷ったらやる、やる勇気が必要だ」と迅速な処置の大切さを説く。また、交通事故や転倒が原因で早産や死産となったケースがあると指摘し、「妊婦は『自分は具合が悪くないから大したことはない』と自己判断せず、かかりつけ医などに相談してほしい」と話した。

転倒や転落で頭を打った
酒井さん ぶつけたことに驚いて大泣きする場合があり、泣き過ぎて嘔吐(おうと)することもある。名前を呼び掛けると反応があって落ち着いているなら様子を見よう。たんこぶがあったら冷やす。その後、48時間は激しい運動や遠出を避ける。
    【受診の目安】
  • うとうとして視線が合わない
  • 顔色が悪い
  • 嘔吐を繰り返す
  • けいれんする
  • 皮膚がぱっくり切れた
  • 大きなたんこぶができた
後藤さん:ギャンギャン泣けるようなら呼吸しているので大丈夫だろう。
    【救急車を呼ぶケース】
  • ぐったりして反応がない
  • 呼吸していないときはすぐ心肺蘇生法を行う。119番にかければ電話口で指示をし、リズムも伝える
  • ゲーゲーと嘔吐した

やけどをした
酒井さん 流水で冷やすのが難しければ、ぬれタオルを患部に当てる。子どもの皮膚は大人の2分の1~3分の1と薄く、保冷剤で凍傷を起こす危険があるので、薄手のタオルを巻いて使う。水疱(すいほう)ができた場合は細菌が入らないよう破らない。
    【受診の目安】
  • 大人の手のひら以上の範囲をやけどした
後藤さん:患部を流水に当てて冷やし、痛みが引いたらやめる。冬季は冷やしすぎて凍傷の危険があるので注意して様子を見る。
    【救急車を呼ぶケース】
  • 熱湯をかぶったとき、服を脱がせてしまうと皮がむける。シャワーなどで服の上から水を当てて119番を

食物アレルギーを起こした
酒井さん  アレルギー反応は個人差が大きく、口や目の周りが腫れたり、かゆみが出たりする。発疹の場合、上皮だけでなく粘膜にも出る。気道に発疹が出ると呼吸が苦しくなる。初めての食材を食べさせるなら午前中に。連休前なども避ける。
  【受診の目安】
  • 発疹が全身に広がっている
  • 腫れた部分を冷やしても腫れが引かない
  • ヒューヒューという呼吸音がする
  • 顔色が悪い
鼻血が出た
酒井さん  膝に抱くなどして前かがみにし、小鼻の部分を上に持ち上げるように押さえると、10分ほどで出血は治まる。鼻の中にティッシュなどを詰めると、取り出す時にまた出血するので詰めない。
切り傷・すり傷ができた
酒井さん  泥が付いているときは洗い流し、消毒をした後は乾燥させる。ばんそうこうは貼らなくてもいい。ばんそうこうを貼ったら1晩で貼り直す方がいい。水にぬれると雑菌が繁殖するので、すぐに交換する。
けいれんを起こした
 けいれんしている時間を計る。口にタオルなどを入れると窒息してしまうので、何も入れない。 【救急車を呼ぶケース】
  • 5分以上続く
困ったときは「#8000」  看護師がアドバイスする「県救急電話相談」の小児救急(15歳未満)は#8000(時間は午後7時~午前8時)。山形市消防本部の「24時間健康・医療相談サービス」(山形、山辺、中山の3市町が対象)は(0120)023660。

やけどや誤飲―防ぐためのアドバイス

4センチ未満のものは誤飲する可能性がある。子ども目線で危険を取り除こう
4センチ未満のものは誤飲する可能性がある。子ども目線で危険を取り除こう

 防げる事故の例の一つとして、やけどがある。テーブルクロスを引っ張って熱いコーヒーや熱湯の入ったカップ麺をかぶったり、ストーブの吹き出し口に指を突っ込んだりしたケースがあった。小さな子がいる場合はテーブルクロスを使わない、ストーブの周りに囲いを置くなど、事前に対策を講じてほしい。

 誤飲の相談も多かった。直径4センチ未満なら飲み込む可能性がある。特にボタン電池やお金、薬、小さなおもちゃは危ない。子どもはママのバッグが気になって触りたくなる。化粧品を口に入れないよう、子どもの手が届かない所に置いてほしい。

心肺蘇生のやり方

子どもの体格に合わせ、片手や両手で胸部を押して心臓マッサージをする
子どもの体格に合わせ、片手や両手で胸部を押して心臓マッサージをする

 基本は大人と一緒。新生児(生後28日まで)なら指2本で、体格にもよるが未就学児なら片手、小学生なら両手の手根部で、真上から垂直に押す。位置はみぞおちから指2本分くらい上で、乳首よりも下の部分。押す深さも体格によるが、胸が3分の1ほどへこむ程度。スピードは1分に100~120回。子どもには人工呼吸が有効な場合があるとされ、できるときには口を覆うようにして息を吹き込む。30回の心臓マッサージをし、息を2回吹き込むことを繰り返す。質を落とさないために、2分で交代できるのがいい。


[PR]
[PR]