
おせちってなぁに? 米沢栄養大に聞く

もうすぐ新年を迎える。正月に欠かせないのがおせち。「作るのが大変そう」「そもそもなぜ正月に食べるの?」と思っている人もいるはず。県立米沢栄養大(米沢市)を訪ね、おせちの由来、栄養価、地域の特色などあれこれを聞いてみた。子どもが好きそうな3品のレシピも伝授してもらった。一年を振り返り、新しい年に思いを巡らせながら作ってみてはどうだろう。
由来、特徴、栄養バランス―神様へのお供え、保存も利く

おせちの由来について教えてくれたのは、同大健康栄養学部の鈴木美穂講師。語源は「節供(せっく)」であるとされ、季節の節目にあたる「節日(せちび)」に宮中で神様へのお供えをしたことだという。節日は年に5回あり、これを「五節供」と言ったが、やがて新年を迎える最も重要なお供え料理が「おせち」となり正月料理として定着した。
おせちの特徴は日持ちすること。年神様を迎えるため、台所で煮炊きを控えて物静かにするべきとされており、このことから保存が利く料理が中心になったという。また、神様が食べたものを人間も食べてつながりを強くし、神様のご加護を願うという意味合いがあるため、両方の先端が細くなっている祝い箸を用いる。
栄養バランスについても解説してもらった。土の中で育った根菜類はビタミン、ミネラルを豊富に含んでいることから、体を温め、免疫力アップが期待できる。根菜のほか、昆布には食物繊維が豊富。魚のすり身を使うかまぼこ、だて巻きの卵、エビ、黒豆はタンパク質を豊富に含むという。鈴木講師は「おせちは季節の食材を使って保存も利き、栄養バランスにも優れている。理にかなった料理だと言える」と話した。
県内では何食べる?
県内の年末年始の食の特徴は、どのようなものがあるのだろうか。健康栄養学部の斎藤寛子助手に聞いた。
県内では元旦よりも大みそかを重視する献立が多かったが、近年では全国標準的な家庭が多くなったとみられるという。
雪国であることから昔は冬場の食材が少なく、乾物や塩蔵品を上手に用い、ハレの食を作ってきた。県内の広範囲で食べられるのが、ひょう干しの煮物。「ひょっとしていいことがあるように」や「無病息災」など願掛けの意味合いがある。鯉(こい)は海から離れている内陸でも入手できる魚であり、ごちそう。現在でも甘煮(うまに)として食べられる。
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▽1日目
- (1)黒豆は洗って水気を切る。
- (2)鍋に水を入れて火にかける。沸いたら火から下ろし、熱いうちに砂糖、しょうゆ、塩、重曹、黒豆を加え、室温で一晩置く。 ▽2日目
- (3)(2)の鍋を強火にかけ、沸いたら丁寧にアクを取る。途中数回さし水(カップ1/2)を加え、再び煮立ててアクを取る。(2~3回繰り返す)
- (4)アクをすくい取ったら、落としぶた(キッチンペーパーでもよい)をし、鍋のふたは隙間を空けて、ごく弱火で約6時間煮詰める。黒豆が煮汁からでないよう適宜湯を足す。
- (5)黒豆を指でつぶして簡単につぶれる軟らかさになったら火から下ろし、一昼夜おいて味を含ませる。
- (1)白はんぺんは1センチ角に切ってすり鉢ですりつぶし、砂糖とみりんを加えよく混ぜ、卵を1個ずつ加えすり伸ばしておく。(材料をミキサーに入れて滑らかになるまで混ぜてもよい)
- (2)卵焼き器(14センチ×18センチ)にサラダ油を半量入れて温め、(1)を半量流し入れる。ふたをして弱火で5分ほど加熱する。
- (3)表面積の半分ほど固まったら裏返し加熱する。
- (4)十分に焼けたら鬼すだれに取り、手前から1センチ間隔で横に6本切れ目を入れる。
- (5)しっかりと巻き込み、両端を輪ゴムで留める。巻き終わりを下にして冷めるまで寝かせ、好みの厚さに切り分ける。これを2本分繰り返す。
- (1)サツマイモは2センチの輪切りにし、皮をむいて水にさらす。
- (2)鍋にサツマイモと水、クチナシの実(砕いてガーゼに包む)を入れて火にかけ、軟らかくゆでる。(クチナシの実はなくても、サツマイモの種類によってはきれいな黄金色になる)
- (3)サツマイモをざるにとって水気を切り、熱いうちに裏ごしする。(ポテトマッシャーで細かくつぶしてもよい)
- (4)サツマイモを鍋に入れ、砂糖、みりん、塩を加えて中火にかけながら木ベラでよく練り上げる。