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授乳の悩み、どうしたら 県助産師会理事・斉藤ひとみさん(山形)に聞く

2021年9月7日掲載
授乳についてアドバイスする斉藤ひとみさん
授乳についてアドバイスする斉藤ひとみさん

 子どもが生まれると数時間おきに授乳が始まり、母乳でもミルクでも悩みは尽きない。「母乳が出ない」「母乳の量は足りてる?」「ミルク育児ってどう思われてる?」…。県助産師会理事で山形市のママパパ教室を担当する斉藤ひとみさん(52)=同市=に、授乳の悩みや不安、もやもやについて話を聞いた。斉藤さんは訪問型の母乳相談や産後ケアも展開しており、産後の母親たちに寄り添った立場からアドバイスしてくれた。

 -斉藤さんは訪問型の母乳相談や産後ケアを実施しています。どのような相談が多いですか。

 「出産後、病院で母乳による授乳がうまくできないまま退院してしまったので見てほしいという相談や、母乳を吸わせる時におっぱいが痛い、母乳が足りているか不安といった悩みの人が多いです。母乳の量を保つには赤ちゃんが吸う刺激が必要。母乳は血液から作られるので、きちんとした食生活や水分摂取、休養が大事です。母乳育児では揚げ物はだめ、アイスも良くないと思っている人がいるようですが、ストレスをためるのが一番良くない。揚げ物も、スパイスが効いた食べ物も食べて大丈夫。偏った食事が良くないので何でもバランスよく食べて。オリーブオイル、きび砂糖など良質な調味料を使うのもいいと思います」

-母乳育児の良いところは。

 「母乳は赤ちゃんの免疫力を高めてくれます。また母乳育児をした人は、そうでない人よりも婦人科系の病気の罹患(りかん)率が低いというデータがあります。母親の産後の回復も早いです。また栄養面のほかに、授乳を通して肌と肌が触れ合うことで母子の絆が深まり、言葉をしゃべらない赤ちゃんからのメッセージを受け取ることができます」

 -母乳ケアをしてもらいたいと思ったら、産後どれくらいの間に相談したらいいですか。

 「望ましいのは産後2週間のうちに適正なケアを受けることです。母乳育児をしたくて悩んでいる人には期間を問わず、なるべく早く呼んでもらいたいです」

 -出産したら母乳が出ると思っていたら、出なくて落ち込むという声も聞きます。ミルク育児についてはどうですか。

 「病気や乳腺炎になってミルクに切り替える人もいます。赤ちゃんの体重の増加が見られないときは、ミルクとの混合を薦めることもあります。ミルクは夫や祖父母など授乳を手伝ってくれる人の幅が広がり、いろんな人に抱っこしてもらえます。母乳育児は本来自然な営みですが、女性の社会進出が進み、母乳だけで育てるのは特別なことになってきました。母乳育児にメリットはありますが、さまざまな理由でそうできない人が一定数います。日本ではミルクで育てることができ、選択権はお母さんにあります。完全母乳が素晴らしい、ミルクがいまいちということではなく、一番大事なのは母子ともに健康で幸せであることです。でも、少しでも多くの人に母乳育児をしてもらいたいですね」

 -授乳や育児に関して、本県ならではの特徴はありますか。

 「本県は共働き率が高く産後の仕事への復帰も早めです。母乳育児をしていた人が職場復帰とともに母乳をやめることもあります。断乳ケアを依頼する人もいます。職場が母乳育児を応援してくれる体制が当たり前になるといいですね」

 -月齢が進み、寝る前に授乳したのに夜中に起きておっぱいやミルクを欲しがる場合は。

 「欲しがっているようだったら、あげても大丈夫です。お座りができるようになった、つかまり立ちができるようになったなど、成長の節目でよくあることです」

 -授乳はいつまで続けるべきですか。

 「世界保健機関(WHO)が推奨しているのは2年ですが、それ以上に続けてもいいと思うし、ライフスタイルに合わせてお母さんが決めればいいと思います」

 -祖父母世代のアドバイスはどう受け止めたらいいですか。

 「子育てにジェネレーションギャップがあるのは仕方がないことです。祖父母世代の言葉で、争ったり、プレッシャーを感じたりするのではなく、体験談を話してくれているな、と捉えてほしいです」

子育て方針、夫と共有して

 夫は生涯のパートナー。斉藤さんは「子育ての方針について夫婦で話し合い、共有してほしい。妊娠中から話題に出して話し合うことが理想」と指摘する。男性に対して「母乳は母親からしか出ないので、母乳を頑張りたいと言っているのなら支えて、苦しそうだったら話し合って、必要なら専門家に相談してほしい」アドバイスした。

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