わいわい子育て

アラカルト

「5歳からの美術鑑賞」 山形美術館主任学芸員・白幡さんに楽しみ方聞く

2021年3月16日掲載
山形美術館主任学芸員の白幡菜穂子さん
山形美術館主任学芸員の白幡菜穂子さん

 「子どもには幼い頃からアートに触れさせたい」とか、「子どもと一緒に美術館でリラックスできたら」などと思いつつも、美術館というと二の足を踏む人もいるのではないだろうか。小さな子が美術館に行って大丈夫か、作品が理解できるだろうかといった心配もある。そこで、山形美術館(山形市)主任学芸員の白幡菜穂子さんに「5歳からの美術鑑賞」と題し、美術館や展示作品の楽しみ方を教えてもらった。

 美術館は「作品を見て感じ、考え、日常とは違う世界を体験する場所」と白幡さん。幼児期であっても美術館体験は大事だという。鑑賞を通じ、考える力や考えたことを人に伝える力が身に付くほか、歴史や文化によって異なる表現、家族や友達との感じ方の違いなど、多様性を学ぶ機会になるからだ。実際の絵の大きさ、表面の凸凹、光の反射などを感じられるのも、美術館ならでは。年長児の行事として作品鑑賞に訪れる幼稚園や保育園もある。

 とはいえ幼い子どもが長時間静かに鑑賞するのは難しいもの。そこで白幡さんは「お散歩に行くような感覚で訪れてほしい」と提案する。鑑賞する際は手をつなぎ「これ、な~んだ?」「どれが好き?」と話し掛けながら回る。子どもが好きなことに絡めるといいようだ。長く展示室にとどまることは考えず、館内を探検するつもりで歩こう。

 山形美術館には喫茶室や自動販売機コーナーがあるほか、近くに公園もある。「おやつやランチの時間とセットにして親子でのお出掛けを楽しんで」と話す。

【作品紹介】

  • 「永遠なる休息の精」
  • 「永遠なる休息の精」(ロダン) 元々は隣に別の像が配置される予定だった。その台座にもたれて木のリンゴを取ろうとしている姿。 ☆こんな質問してみよう
    「何でこんな姿勢をしているの?」「何をしているんだと思う?」「同じ格好で立てるかな」
  • 「少年」
  • 「少年」(新海竹蔵)右目や肩、頭に穴が開いた石こう像。彫刻の中と外の空間をつなぎ、独自の空間性を生み出している作品。 ☆こんな質問してみよう
    「どうして肌が凸凹しているのかな」「この子は何を考えていると思う?」
  • 「ジョーの肖像 美しいアイルランド女性」
  • 「ジョーの肖像 美しいアイルランド女性」(クールベ)クールベは写実主義を提唱した革命的な画家。あるがままの人間の姿を描き、この油彩画は豊かな髪や質感のある肌が特徴的だ。 ☆こんな質問してみよう
    「この人の髪やほっぺにに触ったらどんな感じ?」「鏡で何を見ているのかな」
  • 「サンジェルマンの森の中で」
  • 「サンジェルマンの森の中で」(モネ)モネは、光の効果を描く印象派を代表する作家。この油彩画からは仏・パリ郊外の森の風のそよぎや木の葉のきらめきが感じ取れる。 ☆こんな質問してみよう
    「森の中はどんな匂いや音がするかな」「向こうに見えるのは人かな。おうちかな」「向こうまで走れる?」
  • 「緑色の結合」(カンディンスキー)
  • 「緑色の結合」(カンディンスキー)ゆっくり弾いたバイオリンの低音のような響き、浮遊する無限空間を表現した抽象画。☆こんな質問してみよう
    「この絵は暑そう?寒そう?甘い?苦い?触ったらどんな感じ?」「好きな色や形はあるかな」
  • 【美術館で守るルール】

    ◆作品に触らない
    • (1)歩く時は大人と手をつなごう
    • (2)展示室の壁にも触らない
    • (3)作品がある場所では飲んだり食べたりしない
    ◆周りで鑑賞する人のじゃまをしない
    • (1)会話をする時は「アリさんの声(小声)」で
    • (2)大人が「しー」と口元に指を立てたら静かにしよう
    <山形美術館>

     開館時間は午前10時~午後5時。入館料は展覧会ごとに変わる。未就学児は無料。毎週土曜と5月5日は小中学生も無料。無料駐車場やスロープ、エレベーター、おむつ替えや授乳のスペースもある。アートイベントなど子ども向けの企画も定期的に開催している。

    [PR]