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甘く見ないで「お口ぽかん」 歯科医・工藤院長に聞く

2020年1月19日掲載
あやこ歯科医院の工藤理子院長=山形市
あやこ歯科医院の工藤理子院長=山形市

 わが子のお口、ぽかんと開いたままになっていない?-。子どもらしくてほほ笑ましくもあるが、実は口腔(こうくう)内の健康などに悪影響があるという。「口腔機能発達不全症」の症状の一つで、そのほかに食べる機能などにも症状が認められる場合には、2018年から保険診療が適用されるようになった。あやこ歯科医院(山形市)の工藤理子(あやこ)院長に「お口ぽかん」が及ぼす影響や、改善方法について聞いた。

「お口ぽかん」はどんな状態?

 「平常時に上下の口唇が開いていることが多く、口呼吸をしている。アレルギー性鼻炎やへんとうの肥大などで鼻呼吸がしづらい、上の前歯が唇側に出ていたり、下顎が後ろに引っ込んでいたりするかみ合わせ(いわゆる出っ歯)のために唇が閉じにくいという要因がある。見た目の特徴として、唇が乾燥し、唇の筋肉がちゃんと発達していないために、上唇がめくれて富士山のような形をしていることが多い。食べ物を上手にごくんと飲み込めない子もいる」

歯への影響は

 「口呼吸で口の中が乾燥すると口をきれいにしたり、中性に保ったりする唾液の機能が低下して細菌が増え、歯肉炎や虫歯になりやすくなる。歯並びやかみ合わせにも影響がある。歯並びは口唇や頬、舌との力のバランスに強く影響されるからだ。口を開いていると、上顎の骨は頬に押されて成長しにくくなる。きちんと成長した広い顎にはきれいに歯が並ぶが、成長しない狭い顎だと歯はがたがたに生えるしかない。また、下唇で上の前歯が押さえられないため、出っ歯になってしまうことがある」

ほかにも影響がある?

 「細菌の繁殖によって口臭が強くなる。のども乾燥するため細菌感染しやすく、へんとうが腫れたりインフルエンザや風邪にもかかりやすくなったりする。鼻呼吸の場合は、鼻粘膜の働きで呼気や吸気の湿度や温度が保たれ、体温の低下を防ぐことができるが、口呼吸では保たれなくなる。現在、子どもの低体温も問題となりつつある」

治すためにできることは

 「気になったら歯科医に相談してほしい。家庭で簡単にできるトレーニングがある。口を大きく『あ~い~う~べ~』と動かし、口や舌の筋肉を鍛える『あいうべ体操』がある。1セット4秒前後で、1日30セットを目標にしよう。唇をとがらせ鼻の下と唇の間にストローを挟む“タコの口”もお薦め。テレビを見ながら1日10~15分ほどやってみて。鼻の下を伸ばし、上唇と上の前歯の間に空気を入れる“ゴリラの口”と合わせてやってみよう。風船を手で持たずに膨らませるのもいい。唇の筋肉を鍛えることができる。普通、口を閉じている時は舌が上顎にくっついているが、口が開いている子は舌が下顎に沈んでいる。舌が下の歯を内側から押して広げてしまい、かみ合わせが悪くなることがある。加えて、うまく飲み込めないということにも関係するので、舌の正しい位置を教えてあげてほしい。鼻の疾患やへんとう肥大がある場合は耳鼻科の受診も必要」

いつまでに治すといい?

 「下顎は身長と比例して成長するが、上顎の成長のピークは10歳ぐらいなので、早いうちに治そう。意識しなくても唇を閉じられるようになるのが目標。子どものうちからきちんと口の機能を獲得しないと、高齢になった時のオーラルフレイル(口の衰え)にも影響し、体の衰えにつながってしまう」

口や歯に関するアドバイスを

 「コロナ禍でマスク着用が日常になっているが、息苦しいためマスクの下では口呼吸になってしまうことが多いと思う。口呼吸が習慣化しないように意識することが大切。また、食事の時は唇を閉じ、奥歯でよくかみ、舌を上顎にくっつけてごっくんと飲み込むことを意識することが、顎の成長を促す。健康長寿にもつながる」

家でも簡単・トレーニング

  • 【タコの口】口をとがらせたタコの口。鼻の下に太いストローを挟んだまま10~15分間、キープする
  • タコの口

  • 【ゴリラの口】鼻の下を伸ばし、上唇と上の前歯との間に空気入れるゴリラの口
  • ゴリラの口

  • 【風船を活用】風船を手で引っ張って伸びやすくした後、手で持たずに膨らませる
  • 風船を活用
    風船を活用

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