大江町山里交流館長に聞く虫捕りのこつ トンボは…じっと待て
8月も中旬に入り、山や野原にはトンボが飛び交うようになった。早朝や夕方など比較的涼しい時間帯に、親子で虫を捕まえてみるのもいいかもしれない。大江町山里交流館やまさぁーべ館長の佐々木隆馬さん(42)=同町=に、虫捕りのこつを教えてもらった。
今月7日、寒河江市のいこいの森キャンプ場に向かった。出迎えてくれたのは、佐々木さんと長男の桜介君(6)=大江町本郷東小1年。記者が着く何時間も前から遊んでいたといい、水路で捕まえたゲンジボタルの幼虫、オニヤンマのヤゴ、ハゼの仲間のヨシノボリを見せてくれた。
虫捕りはまずバッタから。佐々木さんがオンブバッタ、ヒメギス、エンマコオロギの幼虫と次々に捕まえていく。土色のクルマバッタモドキを手に「完璧な保護色で地面ではなかなか見つけられない」といたずらっぽく笑い、ぱっと放す。すぐに見失ってしまった。
次はトンボ。トンボには縄張りがあり同じ場所を何度も飛び回るのだという。しかもオオヤマトンボとギンヤンマは広い池の上、オニヤンマは細く長い水路の上と好みの場所が異なる。トンボを見つけるとうれしくなり、つい虫網を振り回しながら追い掛けてしまいがちだが、じっと待つのがポイント。
佐々木さんが広い池の脇で網を構えること約5分、オオヤマトンボを捕まえた。記者は初めて聞く名前。腹の模様が、オオヤマトンボは緑と黄色、オニヤンマは黒と黄色だと教えてもらった。その数分後にギンヤンマも。黄緑と水色が鮮やかだが、標本にすると色が抜けてしまうそう。生きていればこその色だ。桜介君が網に入れたショウジョウトンボも真っ赤できれい。名前は、中国の伝説上の動物「ショウジョウ」に由来するという。
2人は「次を最後にしよう」と難関のオオルリボシヤンマと王道のオニヤンマに挑戦した。桜介君が網を大きく空振りした。佐々木さんは「届く距離じゃなかったら無理に振らないよ」とアドバイス。トンボは網が振られたことに気付くと空高く上がってしまい、しばらく下りてこない。ここで虫捕りを終えた。最終的に約2時間で10種類ほど捕まえた。
佐々木さんは子どもたちと虫を捕るときはいつも「よく観察したら元の場所に放そうね」と声を掛ける。虫は種類が豊富で面白い。捕まえたときの達成感もある。一方でなかなか捕まえられない珍しい種類もいる。「貴重だね、だから自然を守らないといけないね」と伝えれば、環境の大切さを知るきっかけになるという。佐々木さんは「まずは虫捕りを思いっきり楽しんでもらいたい。そのためには、大人が本気になって一緒に楽しむことが大切」と話した。
大江町山里交流館やまさぁーべは2015年、旧七軒西小校舎を宿泊可能な施設に改修しオープンした。ゴロゴロした石を踏みながら川の中を歩くリバートレッキング、雪上を歩くかんじきトレッキングといったプログラムが体験できる。問い合わせは同館0237(64)2507。
佐々木さんは生き物に関する出前講座などを開く「いきもの体験ラボ」の代表も担う。虫の観察会の講師やバードウオッチングのガイドとして活動。問い合わせはメールikimono.exp.lab@gmail.com