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ママが運営の子育てサロン 2児の母・中嶋さん(山形)が開設

2019年5月21日掲載
2歳と5カ月の男の子2人を育てながら、サロンを運営する中嶋愛さん
2歳と5カ月の男の子2人を育てながら、サロンを運営する中嶋愛さん

 地域の公民館などで開かれている「子育てサロン」。乳幼児を育てる母親の交流や支え合いの場として、市町村の社会福祉協議会が呼び掛け、主任児童委員や福祉協力員が運営していることが多い。山形市の場合、社協に申請しているサロンは全30地区中25地区にあるが、現役ママが開催する珍しいサロンがある。興味はあるものの一歩目が踏み出せずにいる人にとって、気軽に訪れることができる場になっている。

 

 運営するのは山形市相生町の主婦中嶋愛さん(30)。2歳と5カ月の男児2人のママだ。昨年4月から毎月第2火曜日の午後、自宅近くで中嶋さんの家族が経営する「中島商店」2階の和室で「いちょう子育てサロン」を開いている。市や市社協の助成を受け、毎回、地区の福祉協力員や民生児童委員も協力する。中嶋さんはママ友感覚で利用者と接し、みんなが楽しめる雰囲気づくりを心掛ける。写真共有アプリ・インスタグラムを使って積極的に情報を発信し、それを見たママたちが地区を越えて参加しているのも特徴だ。

 5月14日のサロンには、中嶋さん親子を含む8組が集まった。5カ月~2歳2カ月の子どもたち9人が、和室に広げたボールプールや手押し車で楽しそうに遊び始めると、母親たちはおしゃべりをしてほっとひと息ついた。

 同市若宮2丁目の主婦荒木美奈さん(31)は長女(1)と初参加。子育てサロン自体もこの日が初めてで、「インスタグラムで雰囲気が知れたので参加しやすかった。同じママが運営しているのにも興味を持った」と話す。中嶋さんと荒木さんは「幼稚園の情報集めてる?」といった話題で盛り上がった。全地区のサロンを回っているという同市城西町4丁目の主婦庄司愛子さん(32)は「中嶋さんと悩みを共有できるのがいい」とママによるサロンの魅力を話す。

 中嶋さんが住む地区にはもともとサロンがなかった。長男誕生後にそれを知り、「みんなでわいわいする場所づくりなら、自分にもできるんじゃないか」とサロン開設に向けて動きだした。

自由に遊ぶ子どもたちを見守りながら、ママ同士、リラックスしておしゃべりを楽しんでいた=山形市・いちょう子育てサロン
自由に遊ぶ子どもたちを見守りながら、ママ同士、リラックスしておしゃべりを楽しんでいた=山形市・いちょう子育てサロン

 主任児童委員を務める義母のアドバイスを受けながら、準備を進めた。まずはほかのサロンの見学。どんな雰囲気で、どんなおやつを提供し、どんなふうに過ごしているのかなどを調べて回った。手作りのおもちゃを用意しようと考え、近くの子育て支援センターに通い、ダンボール箱や牛乳パック、ペットボトルなどを材料にしたおもちゃの作り方を教えてもらった。チラシの作成や、おやつの個包装も一人でこなした。

 当初はなかなか人が集まらなかったが、自分なりの特色を出し、インスタグラムなどで情報を発信することで徐々に広がりを見せている。中嶋さんは「自分が楽しいと思うことをすると、みんなも楽しんでくれる。地域とつながっているという感覚もうれしい」とやりがいを語る。今後の目標は、結婚や出産を機に仕事を辞めた母親たちが、サロンの運営に携わる仕組みづくりだという。「専業主婦で子育てをしていると社会から切り離された感覚になる。ママたちが得意なことを生かしながら、地域の人たちともっとつながりを持てるようにしていきたい」

 子育てサロンは母親の孤立を防ぎ、地域で子どもたちを育てていこうという目的で始まった。県社会福祉協議会によると、各地域の社協の支援を受けて住民が運営するサロンは、県内12自治体に計49カ所ある。山形市では15年ほど前にスタート。サロンごとに特色があり、おしゃべりやおやつ、絵本の読み聞かせ、季節の行事を楽しんでいる。同市社協の担当者は「子育てしていく上で、同じ地域に住むママたちと知り合えるのは心強い。核家族が増えている中、地域のおじいちゃんやおばあちゃんと触れ合えるのも魅力。各地区のサロンをぜひ利用してほしい」としている。

“先輩ママ”でもある地域の福祉協力員や民生委員も毎回手伝いに訪れ、絵本の読み聞かせをしている
“先輩ママ”でもある地域の福祉協力員や民生委員も毎回手伝いに訪れ、絵本の読み聞かせをしている
初参加のママも気軽に訪れ、話ができる雰囲気がいちょう子育てサロンの特徴だ
初参加のママも気軽に訪れ、話ができる雰囲気がいちょう子育てサロンの特徴だ
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