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子どものネットトラブル増加 親子で危険性話そう

2016年8月16日掲載

 夏休みに入り、子どもたちは遊びに宿題に大忙しだ。長期休暇はパソコンやスマートフォン、ゲーム機を通じ、一日中インターネットにつながる環境に置かれる。現代は、ほとんどの子どもたちの身近にネット環境があり、会員制交流サイト(SNS)を日常的に使う高校生は多い。トラブルに巻き込まれないためには、子どもを守るにはどうしたらいいのか。山形警察署生活安全課の米野涼子調査官が全国の状況を交えて解説した「いのちの学習研修会」(4日・山形市総合スポーツセンター、市教育委員会主催)を取材した。

 米野さんはまず、内閣府が2015年度に実施した調査結果を紹介した。インターネットに接続できる機器の所持率は小学生が86.2%、中学生は89.9%、高校生は99.1%。中高生の多くはコミュニケーションツールとしてインターネットを使っており、SNSが浸透している印象だ。

■感じ方さまざま

 出会い系サイトやコミュニティーサイトを利用して犯罪被害に遭った子どもは年々増加している。性犯罪も多い。SNSにまつわるトラブルも数多くあり、一部は事件に発展することもある。

 SNS内で面識のない女子生徒に悪口を書かれたとして、女子中学生が相手に暴力を振るった事件があった。米野さんは「相手に対する配慮に欠ける言葉がトラブルを招いているケースは県内でもある」と強調する。ここでクイズ。「面白いね」に親指を立てるマークが付いていたら、どう感じるか。「ちょっと面白い」と答えた人が最も多く、「すっごく面白い」「ばかにしている」と続いた。表情や声のトーンが分からないネット上のやりとりは、受け取られ方がさまざま。自分の気持ちが正しく伝わらないこともある。

 ネットを通じて知り合った人は、プロフィルを偽っているかもしれない。相手を女子高生と信じ、男に裸の写真を送ってしまった女子児童もいる。「送って」と言われ、言われるがままに送ってしまった事例だ。純粋でいい子だからこそ、こうしたわなにはまってしまうという。家族のことで悩んだとき、ネットで知り合った人を「じっくり話を聞いてくれた親切な人」と勘違いする場合も。家出を唆されたり、誘拐されたりして事件になったケースは、県内でも発生している。子どもたちが正しく判断できず、「遊び」の延長で事件に巻き込まれることもある。

■「認められたい」

 ツイッターで多くの人にフォローしてもらおうと、自身の裸の画像を載せた女子高校生が書類送検された事件もあった。こうした「認められたい」「褒められたい」といった承認欲求が満たされる機会が現実社会で少なく、ネット上に求めた結果だ。

 ネットを使う判断力が未熟な子どもたちには、接続を制限する「フィルタリング」が必須だ。内閣府調査では利用率(15年度)はスマホで45.2%と半数以下で、なかなか広まらない。買い与える前に、親子で使用ルールを決めるのも有効だ。▽使うのは午後8時まで▽親が見えるところで使う▽サイトの利用登録はしない-など。子どもとしっかり話し合い、ネットに潜む危険を教え「こうした制限をかけるのは心配しているから」とはっきり伝えることが重要だ。

 米野さんは「現実社会の不満をネットに求める傾向がある。『頑張ったね』と声を掛けるのは簡単。子どもをよく見てほしい」と話した。

【Q&A】携帯見るならルール決めて 子ども同士の問題、学校に相談

  子どもの携帯は見てもいい? 親には持たせた責任があると思うんだけど…。

  勝手に見てしまえば親子関係が悪くなる。見たいならば購入前にそのルールを決めよう。「親に見られる」という意識がネット利用抑制につながるかも。

  子ども同士のSNSトラブル。解決するには親子で考えた方がいい?

  警察より、学校の先生に相談するケースが多い。最近は生徒会やPTAで話し合い、使用ルールを作る学校が増えている。

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