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男子への性教育考えよう “人間と性”教育研究協議会幹事・村瀬さんが講演

 小中学生の男の子への性教育を考える講演会「男子の性に学習の光を」が天童市で開かれた。“人間と性”教育研究協議会幹事で、大学講師も務める村瀬幸浩さん(東京)が、男子への性教育が遅れている現状を示し、その要因を解説した。大人になり、豊かな性生活、健康な人生を送るためにも、男子の性教育が必要だという。講演の概要を紹介する。

【講演要旨】

 結婚生活で妻といい関係をつくりたいと考えたとき性交渉が大切だと感じた。自分の気持ちを伝え、相手の気持ちを聞く。男女の性欲求のずれは黙っていても分かり合えない。

講演する“人間と性”教育研究協議会幹事の村瀬幸浩さん=天童市健康センター
講演する“人間と性”教育研究協議会幹事の村瀬幸浩さん=天童市健康センター

 日本は社会的にも経済的にも、いまだ男性が優位。男性の性意識や性行動にメスを入れないと、男女の関係性は変わらない。性交渉には考え方、意識、男性観、女性観が表れる。

 食欲は物と個人の関係で本能的だが、性欲は人間が相手。コミュニケーションの質が問われるし、性交渉は相手の命、人生、健康を傷つけることもある。徹頭徹尾、関係性だ。

 性交渉を関係性として学ぶ機会は少なく、男子の性の無知は深刻だ。自分の欲望をどう満たすかに偏りがち。相手がどう考えているかに気を配り、コミュニケーションしなければ関係性は続かない。男には攻撃的、支配的、自己中心的な性行動がある。子どものうちから相手を思いやる関係性を教えないといけない。

 男子専門学生と女子高校生に聞いたアンケート結果がある。射精について「汚らわしい」と思う男子学生は14.3%、女子生徒は8.6%、「恥ずかしい」と思う男子学生は19.5%、女子生徒は13.9%。男性の約2割が自分の性に対して否定的に捉えていることがうかがえる。女性が感じるよりもネガティブだ。自慰行為がみっともない、汚らわしい、惨め-と思う人も多く、快楽を肯定的に見る人が少ない。

 現在の性教育では、女子は初潮の前に月経の仕組みを知るため、安心して迎えることができる。男子も精通の前に射精について学ぶことができれば安心し、救われるはずだ。

射精に関する学生・生徒の意識

 男性は射精の意味をまともに教わらない。自慰行為に快感を得ながらも「こんなことやっちゃ駄目だ」と思い、射精する。いや応なく自分の性や性器と向き合う。こうして自分の性に対してネガティブなイメージができあがる。

 思春期は、社会を意識し、自分と異なる性格や考え方の人たちと生活することを学ぶ時期でもある。心の揺れが大きく、一生を左右する変化につながることもある。

 男性教師は「男なんて放っといてもいい」なんて乱暴なことを平気で言う。男性教師の気が変わるのを待っていたら遅い。だから女性教師も男子に性を教えないといけない状況にある。

 学校では男子生徒同士でのセクハラがいじめ、いやがらせの中に隠れている。相手が同性のため、教師はあまり深刻に受け取らないこともあるが、ひどい場合は射精させて笑ったり、男子同士で性行為をさせたりすることもある。レイプは魂の殺人というが、男子だってそうだ。「助けて」と泣き叫ぶことができず「自分には生きている価値がない」と思う。性的な暴力は、人間に対する最大の侮辱だ。

 セックスレス世界一とされる日本の夫婦の寂しさの傍らで、性産業は野放しになっている。日本のアダルトビデオには暴力が横行し、笑いがない。性交渉を楽しみ合うという感性が育めないものが多い。そういったビデオのイメージが強く、性行為を回避しようとする若者も出てきている。

 男性が性を文化的に学ばないと、相手との関係性がうまくいかず、相手を傷つけることだけでなく、自分自身をも失い、寂しさを感じるようになる。それが次第に相手への恨みやつらみを募らせる原因になることもある。

 デートDV(恋人間の暴力)の問題にも関係するが、「人間は独り」との考え方になることも大事だ。孤独になりたくないから誰かと関わりたい、つながりたい、寂しい-と思うことが暴力に変わることもある。独りで生きる力、別れる力がないと、依存や支配の関係に陥ることもある。

 お互いの了解で楽しみ合う「相互愛」、セルフプレジャーによる「自体愛」は、どちらも価値のある大切な性行為だ。結婚しても、相手がいつもセックスに応じてくれる訳じゃない。女性が求める性交渉は男性が考えるよりもソフトでライト、スロー、レス。もっと優しく、ゆっくりになれば女性は楽になる。合意がない性行為は犯罪。追求するのは相手と対等のコミュニケーションで、互いに納得する必要がある。

 アジアの性教育はこの10年で変わった。同性婚も認めるなど、セクシャルマイノリティーに対して寛容な国が出てくる一方で、日本の性教育は遅れた。さまざまな指導で、子どもにしっかりした性認識を教育してほしい。

■Q&A 質問にはどう答えれば?

 子ども対象の電話相談で、男子の性の悩みで多いのは自慰行為について。精子が白く、どろっとしていることから「膿(うみ)みたい」「病気になったのかも」「腐ったのかな」と考え込んでしまう男子もいる。性との出会いに絶望的になる場合も。正しい知識は大人が教えなければいけない。村瀬さんの講演から、思春期の子どもたちの質問とそれに対する答えをQ&Aスタイルでまとめた。

  どうして白くてねばねばしているの?

  白いのは、果糖の結晶の色。粘りのある液体なのは、酸性の膣(ちつ)の中ではアルカリ性の精子の9割が死んでしまうことから、生き残るため。粘りは、少しでも多くの精子を卵子に向かわせるためだ。

  尿は汚いから、尿道を通る精子も汚い?

  尿道にばい菌はいない。尿は酸素に触れるとバクテリアが増えるが、尿そのものが不潔ではない。また、尿と射精した精子が混ざることはない。

  射精はどうして気持ちいいの? 終わると、後ろめたい気持ちになる。

  生殖戦略のため。命をつくり続けるために性行為をするので、そのご褒美が快感だ。

  自慰行為をすると、ばかになるとか、はげるとか、しすぎないほうがいいと聞いたけど?

  そういった話は真実ではない。正しい知識を得よう。

2013年3月19日掲載
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