家づくりコラム家識

(32)「雪国の手間を減らす、融雪設備を考える。」

融雪設備について考える男性のイラスト

雪国山形に暮らしている中で避けられないのが毎日の雪かき。若いうちは雪かきエクササイズなどと言って良い運動不足解消になるかと思われますが、毎日降り続くと出勤前の朝や帰宅時などはへきえきしてしまいますよね。その対応策として一考に値するのが融雪設備。融雪設備とは、その名の通り雪を溶かす設備のこと。屋根や駐車スペースに設置することで積雪や凍結の心配がなくなり安心です。昨今の高騰する一方の電気代や初期費用などを考えれば決して即決できるような設備ではありませんが、その便利さ安全性は大きな魅力であることは確かです。融雪設備工事の内容だけでも知っておきませんか。

1.融雪設備の種類と機能

屋根、雨どい、玄関口、駐車スペースなど、融雪設備には場所によっていろいろな種類があります。また、それぞれに融雪方法の違いもあります。庭の水道に巻きつける電線も融雪設備の一種です。そして、何を利用して雪を溶かすのか、その選択肢も多彩です。

●「消雪パイプ」は、地下から汲み上げた水などをパイプやホースにあけた穴から駐車スペースや屋根に流して雪を溶かす最も古くからある方式です。寒さの厳しい地域では撒いた水が凍ってしまい危険な場合もあります。

●「電気加熱」は地面や屋根に埋め込んだ電熱線に電流を流すことで発生する熱で雪を溶かすタイプです。

●「温水融雪」は、地面や屋根に埋め込んだパイプの中をボイラーで加熱した不凍液を循環させて雪を溶かします。ボイラーを稼働させるための灯油かガスが必要です。

●「地下水融雪」は、地下水を地面等に張り巡らせたパイプ内を循環させ、その地熱差で融雪するタイプです。

2.初期費用はどれぐらい?

ロードヒーティング(玄関まわりや駐車場など、地面の融雪)をベースに考えてみましょう。灯油を原料としたボイラー式「温水融雪」の場合は、1平方メートルあたりで3~5万円程度のようです。次に、「電気加熱」タイプは1平方メートルあたりで2万~6万円程度と諸条件によってかなり幅があります。また、いずれの方法も土木工事や外構工事費が別途必要になる場合があることも知っておきましょう。一方、地下水を活用する「地下水融雪」は井戸を掘る、ポンプを取り付けるといった大掛かりな工事を伴うため初期費用は他のタイプよりかなり高めです。その土地の地質や地下水の条件によって違ってくるので、実際に工事を検討するときは業者さんに相談しましょう。

3.耐用年数やランニングコストはどう?

決して安価な設備ではないので気になるのは耐用年数です。特に、夏暑く冬寒い過酷な山形の気候条件を考えると最も気になる部分でしょう。耐用年数が長い設備ほどランニングコストの良さにも繋がることは言うまでもありません。例えば、ロードヒーティングの耐用年数はどれぐらいなのでしょうか。「温水融雪」の場合、ボイラーは約20年、パイプは50年近く持つと言われていますが、定期的なボイラーの点検や不凍液の交換が必要になることを覚えておきましょう。「電気加熱」タイプの場合は20~30年が目安ですが、エネルギー源が電気ですから、電気料金高騰の折、かなりのランニングコストを覚悟する必要がありそうです。最後に、「地下水融雪」は基本的にほぼメンテナンスフリーですし、ランニングコストは熱源となる地下水を送る電力だけ。初期費用は高額ながらランニングコストはズバ抜けて安価と考えられます。

<まとめ>

雪国のマイホーム計画時には一考したい課題として、今回は融雪設備を取り上げてみました。初期費用、ランニングコストをよく計算し、ご自身のマイホーム計画に最適な融雪設備の導入を検討してみてはいかがでしょうか。