家づくりコラム家識

(27)「人気の平屋もいいし、3階建ても気になる!!」

平屋か3階建てか悩む家族のイラスト

かつては、マイホームといえば2階建てというイメージでしたが、最近では、生活様式や住まいに対する考え方の多様性を反映して住宅指向も多様化しています。幅広い年齢層に平屋が支持されていたり、敷地をできる限り有効活用したいと3階建てを希望したり、家づくりがますます楽しくなってきました。しかし、平屋も3階建てもそれぞれにメリット・デメリットがあり、敷地によっても向き不向きがありますから注意が必要です。今回は、今どき人気の平屋と3階建てに注目してみました。

1.住宅の階数や広さには規制があります

自分の土地だからといって、広さや階数を好きに建てられるわけではありません。計画的な街づくりや安全面への配慮などから建物の大きさや高さが制限されているのです。代表的な規制としては、建ぺい率と容積率、そして、その基準となる用途地域があげられます。

(1)建ぺい率

敷地面積に対する建築面積の割合を建ぺい率と言い、土地によって建ぺい率の上限が決まっています。例えば、敷地面積100㎡で建ぺい率が80%の土地であれば建物面積は80㎡まで、建ぺい率50%であれば50㎡までとなります。建ぺい率が大きいほど建物面積は大きくできますが、日当たりや隣家との間隔についても考慮する必要があります。

(2)容積率

敷地面積に対する延べ床面積の割合を容積率と言い、これも土地によって上限が決まっています。延べ床面積とは、2階建てであれば1階と2階の床面積を合わせた面積で、バルコニーやロフトなどは延べ床面積に含まれません。例えば、敷地面積100㎡で容積率80%の土地であれば延べ床面積は80㎡までですから、1階50㎡+2階30㎡あるいは1階・2階ともに40㎡といったパターンが考えられます。

(3)用途地域

建ぺい率と容積率を決める基準は、その土地がどの用途地域に区分されているかによります。用途地域とは、都市を住宅地・商業地・工業地など用途別13地域にエリア分けし、建物の建て方などにルールを定めたものです。例えば、第一種低層住居専用地域には10mまたは12mの高さ制限があって3階建てを建てるのは難しいとか、同じ低層住居専用地域でも第二種であれば、コンビニなどの小規模な店舗は建てられるなど、用途地域によって建物の種類や規模、周辺環境も変わってきます。用途地域を事前に把握しておくことで住んでからの暮らしがイメージしやすくなります。

2.人気の平屋、そのメリットとデメリットとは

☆天井が高く開放感がある

平屋は、天井を高くすることができるので開放感が違います。LDKを屋根形状を生かした勾配天井にすることでより心地よい大空間にすることも可能です。さらに、開口部を広くとってウッドデッキなどで室内と庭を繋げば、常に自然を身近に感じながら生活を楽しむことができます。また、天井の高さを生かして小屋裏空間を作り、収納やベッドスペースとして活用することもできます。

☆家事動線、生活動線がシンプル

階段の上り下りの負担がなくなります。ワンフロアなので掃除がしやすく、2階のバルコニーに洗濯物を干しに行くといった面倒もありません。もちろん、生活動線もシンプルで軽快になります。

☆家族間のコミュニケーションが良好に

家族がワンフロアにいるので自然に顔を合わせる機会が増えてお互いの様子がよくわかるようになり、コミュニケーションがとりやすくなります。ただし、プライバシー確保のためには間取り上の配慮が必要です。

☆メンテナンス費用が抑えられる

家は、建築・購入後も何かとメンテナンス費用がかかります。屋根や外壁の点検や修繕、水回りの補修点検など、2階建ての場合は大掛かりな足場を組む必要がありますし、2階にも水回りを設置した場合は、給排水管の点検・修繕のコストも割高になって大変です。また、家族構成やライフスタイルの変化に伴ってリフォームが必要になったときも、平屋の方が比較的自由に間取りなどを変更することができます。

★ある程度敷地の広さが必要になります

2階建てと同じ延床面積、同じ部屋数が欲しいとなると、当然、2階建ての場合よりもよりも広い敷地が必要になります。

★建物中心部の日当たりが悪くなりがち

ワンフロアに居住空間すべてが集中するわけですから、開口部から奥まった場所には光が届きにくいエリアが生まれがちです。その解決策としては、屋根にトップライトをつけて光を取り込む方法や中庭を設けて開口部を増やすといった方法が考えられます。

3.敷地の有効活用3階建て、そのメリットとデメリットとは

☆スペースに余裕ができる

フロアが増えればスペースに余裕が生まれて、フロアごとにゾーニングすることもできます。例えば、1階をインナーガレージとパブリックスペース、2階をファミリースペース、3階をプライベートスペースにするなど、余裕があってメリハリの利いた空間づかいが可能。つまり、1階を店舗やオフィスに使用する場合でも、2、3階で十分に居住スペースが確保できるというわけです。

☆眺望や採光に優れている

3階建て住宅の魅力はなんといってもその眺めの良さ。一般的な2階建て住宅よりも3メートルほど視点が高くなりますから、周囲に高い建物がなければ2階建てとは一味違った景色を楽しみながら暮らすことができます。また、3階部分は周囲からの視線も気になりません。

☆水害などの時も安心

最近は、異常気象による局地的大豪雨などで床上浸水になる被害が多く報じられています。万一、1階部分が浸水してしまっても、3階建てであれば2階・3階を生活スペースとして使用できるので大きな被害は免れます。

★階段の上り下りが負担になることも

3階建ての場合、毎日階段の上り下りする必要がありますから、家事動線も生活動線も大変になります。いい運動と思えるうちはいいのですが、高齢になった時のことなどを考えるのであれば、水回りや寝室、リビングなど、日常生活に欠かせない場所はワンフロアに集中させるなどの対策をした方がいいでしょう。

★家具・家電などの搬入・搬出が大変

高さが魅力の3階建てですが、その高さ故に引っ越し料金や購入した家具や家電の配送料が割高になるケースもあります。また、エアコンの室外機の設置場所によっては2階建てに比べて費用がかかる場合もあります。

★建築費やメンテナンス費がかさむ

平屋とは逆に、高さがある分、後々のメンテナンス費も何かとかさみます。屋根や壁面は定期的な塗り直しが必要ですが、3階建ては2階建てより壁面が広いため材料費も工賃もかかり、さらに、より高い足場を組む必要があるため、別途足場代がかかるケースもあります。屋根や外壁の耐用年数は要チェックです。

<まとめ>

平屋も3階建てもそれぞれに良さがあり、当然、注意すべきデメリットもあります。まず、土地の条件をしっかり理解した上で、家族の生活シーンを思い浮かべながら、家族の将来像も考えながら、「マイホームは2階建て」と決めつけることなく、平屋や3階建ても選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。