被災者と共に奮闘 ボランティアバス同行ルポ
2011年06月12日
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東日本大震災の発生から3カ月となった11日、被災地には、日常を取り戻すため住民と共に奮闘する本県からのボランティアの姿があった。山形市南原町1丁目の本田光太郎さん(28)が誰でも飛び込みで参加できるボランティアグループとして組織した「山形ボランティア隊」と、山新観光が共同運行しているボランティアバスに同行した。被災地では、まだ多くの人手を必要としていた。![]()
津波で浸水した民家の片付けを手伝う山形ボランティア隊の参加者たち=宮城県石巻市渡波地区
この日は52人が参加し、数班に分かれて作業した。ある班は、津波で水没した民家の片付けを手伝った。破壊された家具や食器、縫いぐるみが散乱する。参加者たちは、自分にできることを次々とこなしていった。これまでほぼ1人で片付けをしてきたという家主の男性は協力に感謝し、「みんな、家を直して住まなくちゃいけない。とにかく人手が足りない」と訴えた。 3カ月たってもまだ、がれきは山積みの状態。こうした中、本田さんは現地のボランティアセンターなどと調整。ボランティア隊は毎回、午前9時すぎから午後5時ごろまで、びっしり作業している。 北村山高教諭の前田俊明さん(54)と水戸正紀さん(47)は、個人的に生徒にも体験させたいと思い下見を兼ねて参加した。安全を確認したら具体的な検討に入りたいと考えている。「自分の目で見て、汗を流して学ぶことはたくさんある。山形の未来を担う若者の心を育てるため、ぜひ参加させたい」 ボランティアバスは「行きたくても個人で行くには勇気がいる」という人たちの受け皿になっている。ゴールデンウイーク以降は毎回30~50人が参加。年齢層は20~60代と幅広く、3~4割がリピーターだ。参加者からは「機会をつくってくれてありがとう」という声も寄せられている。参加を機に自らバスをチャーターし被災地に出向くようになったグループもある。 女性の参加者が多いのも特徴で、今回も半数を占めた。水産物倉庫の片付けに当たった天童市東長岡2丁目、会社員蜂谷涼子さん(32)は3週連続の参加。体力に自信がなかったが、できることを無理のない範囲ですればいいと分かった。「女性だから気付くこともある。やることはまだまだある」。そう語るとまた、発泡スチロールの箱を忙しく運んでいた。(報道部・坂本由美子) 【メモ】バスは7月末まで運行。山形駅東口発午前6時半、県庁裏口前バス停発同6時45分。帰りは山形市着午後8時ごろ。山新放送愛の事業団の支援を受け、現在の参加費は従来より1000円安い1人1000円(ボランティア保険未加入者は1500円)で運行している。申し込みは毎週木曜午後6時まで山新観光023(641)8080。
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