「ARIGATO」は芸工大卒業生記す 名取の砂浜、米軍へ感謝伝える
2011年05月05日
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浜辺に木を並べて記した「ARIGATO」の文字の一部=宮城県名取市(佐々木直人さん提供)
2009年に同大映像コースを卒業した佐々木直人さん(25)=東京都=で、昨年自衛隊を辞め、今は求職中だ。 佐々木さんの家族と実家は無事だったが、実家に住む母、妹、弟が心配で3月14日に帰郷した。その際、小さいころからよく行った空港付近を訪れ、惨状を目の当たりにし、絶望感に襲われた。空港で復旧活動に尽力していたのが米軍で「自衛隊や消防への感謝はもちろんあったが、自分の故郷のために異国の人が頑張ってくれている。感謝を伝えなければ」と感じたという。 佐々木さんは中学生のころから写真を撮り続けている。4月1日、佐々木さんが撮った震災前の名取市沿岸部の写真を添えたお礼の手紙を、空港で作業する米軍海兵隊に渡した。大佐は「家族は無事だったか」と気遣ってくれたという。 その足で空港そばの砂浜に立ち寄り、空から見えるように、打ち上げられた木材などを使って感謝の言葉を並べた。中には民家の残骸もあった。誰かの思い出が詰まっているであろう木材を一つ一つ運んで並べた。穏やかな海に腹が立った。感謝を伝えたい一心で書き始めたが、途中「実家も家族も無事だった自分がこんなことをするのは道楽ではないか」と葛藤にも襲われた。 「米空軍指揮官が『アリガトウ』の文字を見つけ感激した」という報道があった4月中旬以降、佐々木さんが日記を掲載する交流サイト「ミクシィ」には約1000件のメッセージが寄せられた。非難されてもおかしくないと思っていたが、多くは「ありがとうと伝えてくれてありがとう」という反応。家族や友人を失った人たちからも長文のメッセージが届いた。佐々木さんは想像以上の反響に「気が引ける」と恐縮しながらも「素直にありがとう、と思っている」と話している。
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