震災が県内観光に打撃 宿泊、ツアーキャンセルも
2011年04月01日
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当て込んでいたツアー客の利用が減少するなど、打撃が広がりつつある=フラワー長井線・長井駅
鶴岡市の湯野浜温泉では、宿泊の取り消しが300件以上に達した旅館もあるなど、ゴールデンウイーク(GW)期間を含む温泉街全体のキャンセルは約1万人に上るという。米沢市内の温泉旅館経営者は「震災以降、一般客はゼロになった。大変な事態」と嘆く。天童市内のあるホテルでは、宿泊客と結婚式や謝恩会など日帰り客合わせて約1万1400人分がキャンセルや延期となり、約8000万円分の売り上げが消えた。 上山市内の別の旅館は震災後、4月前半までの予約はほぼ全件がキャンセルに。担当者は「売り上げは3月が7割減。4月は8~9割ダウンも覚悟しているが、山形新幹線の再開で何とか7割減でこらえたい」と話す。 業界関係者からは「被災者に配慮して旅行や会合を自粛する雰囲気が広がっている」「福島第1原発の事故もあり、東北に行こうという気持ちになれないのでは」「海外からの観光客は当分見込めず、誘客活動もできない」との声も聞かれる。 桜の季節も期待できない。天童市の人間将棋(4月23、24日)が中止になるなど、関連イベントは中止や延期、縮小へと傾いている。山形鉄道(長井市)が運行し31日から通常ダイヤに戻ったフラワー長井線は、旅程の一部に組み込んでいた旅行業者のツアーにキャンセルが相次ぎ、当て込んでいた約2万人の利用がなくなった。 山形市内の旅行会社によると、個人・団体の旅行は前年同期比で7~8割減っているという。この傾向は6月ごろまでは続くとみられ、4~6月に多い学校の修学旅行もキャンセルが出ている。秋以降、一定の需要が戻っても大幅な収入減は避けられない。 一方で、わずかながら明るい兆しもある。山形市の蔵王温泉にはスキー場や旅館の営業に関する問い合わせが入り始め、鶴岡市のあつみ温泉では地元経済に配慮し、予定していた歓送迎会を行う住民も出てきた。「ガソリンなど燃料事情が良くなれば状況は好転する」との期待もある。 こうした中、福島県が本県の旅館とホテルを2次避難先に指定し、滞在費用を公費で賄うことを明らかにした。ある旅行業関係者は「被災者の支援が一番で利益がほとんどないが、ゼロよりはいい。体力のない旅館・企業が倒れる前に一刻も早く始めてほしい」と話していた。 東日本大震災 記事一覧
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