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やましんSDGsプロジェクト

柿﨑工務所

最上(さいじょう)の最上(もがみ)へ一丸


 柿﨑工務所(新庄市、柿﨑和朗社長)は、「最上の最上へ」を企業理念に掲げ、70年以上にわたり地域とともに歩んできました。古里の発展と住民の安全・安心な暮らしに寄与するため、グループ企業と志を一つにして前進していきます。国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の理念にかなう、いくつかの取り組みを紹介します。

【インフラの整備】地域に根差し、発展の基盤つくる

 柿﨑工務所は、初代社長・柿﨑力が手掛けた最上川下流工事事務所(現酒田河川国道事務所)への沈床用資材供給事業を端緒に、1949(昭和24)年5月に創業し、2019年70周年を迎えることができました。

 現在は国、県発注の土木・舗装工事と、建築などを中心に最上地域に根差す総合建設業を展開。長年培った経験と技術を生かして道路や橋梁など地域経済の発展に欠かせないインフラ整備事業に注力し、災害の未然防止や環境保全を図るダム、堤防などの整備にも積極的に関わっています。また、地域住民の快適な生活の実現を目指し、高品質・省コストを追求した住宅の建築に努めています。

【災害対応】現場で生かす機動力―責任感抱き、使命を果たす

 建設業が真価を問われるのは災害時の対応能力です。迅速な情報収集によって、いかに被害の拡大を食い止められるか。約240名の社員を抱え、機械・資材の充実に常に留意するわが社は、自社のみで機動力ある対応が可能です。大雨で最上地方の道路などに被害が出た際も、自社の従業員のみで対応した実績が数多くあります。東日本大震災の際は宮城、福島の被災地に出向き、主要な復旧工事に携わりました。

 想定を超える自然災害が多発する現代は、防災力の強化と安全安心なまちづくりが何より求められ、その担い手となる自覚と責任感を全社員が持っています。災害時の緊急出動体制を整え、道路・河川のパトロールも自主的に実施しています。

 今後もハード、ソフト両面で関連設備の拡充も図り、安心・安全を守る使命を果たしていく覚悟です。

【木質バイオマス発電】循環型林業を振興―豊かな資源を地域で活用

 柿﨑工務所をはじめとするグループ各社の共同出資で「もがみ木質バイオマス発電所」を新庄中核工業団地に整備し、2018年12月から稼働しています。

 約60キロ圏内の森林やグループ所有林から集めた間伐材、製材端材をチップ化し燃料にします。発電能力は最大6800キロワットで一般家庭約1万3千世帯に相当。燃料の年間消費量は約7万4千トンに達し、木材需要の増加につなげています。

 最上地域は森林が総面積の約8割を占め、林業が盛んです。しかし近年は林業が低迷し、山の維持や後継者の育成などが大きな課題となっています。燃料チップを消費するこの発電方式による再生可能エネルギーの提供によって確固たるサプライチェーン(調達・供給網)を築き、林業再生と古里の活性化につなげることがこの事業の大きな狙いです。

 3年前からは育苗事業もスタートさせました。植林、育林、伐採、再生可能エネルギー利用、再造林といった各工程の強化を図り、川上から川下までが潤う、循環型林業振興の一翼を担えるよう努めていきます。また本県が進める「やまがた森林(モリ)ノミクス」に少しでも貢献できるよう力を注いでいきます。

【雇用拡大・女性の活躍】能力、最大限に生かす

 柿﨑工務所の現在の従業員は239人。地元を中心に積極的な雇用を行っています。さらに働き方改革やICT(情報通信技術)を念頭にした職場環境の改善、安全性の高い設備の拡充、待遇面の改善も進め、次世代リーダーの育成も図っています。

 その中で「女性の力を最大限に生かせる会社づくり」を現場の声を拾いながら検討し、「現場補助員」の採用を新たに実施しています。現場技術者をサポートし仕事量軽減につなげるのが主な任務で、現在は若手7人が奮闘しています。

 各種講習会への参加も促し、希望があれば技術者への配置転換も考えます。また子育て支援策の充実も図っています。

 女性の力を随所で生かし、住民のニーズに対して新たな感覚や視点で応えられる建設業を目指していきます。

【献血活動】

献血活動

 社会貢献活動の一環で、2006年から年1回、献血活動を実施し、2020年で15回目。関連会社、協力業者も加わり延べ1200人ほどがこれまで参加しています。16年度には献血運動推進協力団体として厚生労働大臣感謝状が贈られました。

【汚泥のリサイクル】

 グループ企業の一つが宮城、山形、秋田、青森の4県で、産業廃棄物である無規制汚泥のリサイクル事業を展開。資源の有効活用を図る循環型社会の形成に努めています。

【メガソーラー発電施設】

2014年に天童市に整備したメガソーラー発電施設

 天童市と宮城県大郷町にメガソーラー発電施設を設置し、売電しています。再生可能エネルギーである太陽エネルギーの利用促進を今後も図っていきます。

【柿﨑和朗代表取締役社長のメッセージ】

地域の夢を力強くかなえる

柿﨑和朗社長

 私たちは「社会の役に立つ」ことを目指し、70年にわたり地域の皆さまから支えられてまいりました。2019年、事業拡大に努めて来た父の力治朗から社長職を引き継ぎ、かじ取り役としての重責を実感する毎日です。

 弊社グループは、建設業を主軸にリサイクル事業や建設関連産業に従事してきました。近年では、2014年に太陽光エネルギー利用促進のメガソーラー発電施設を山形・宮城に設置。さらに18年設立のもがみバイオマス発電では、マルカ林業が供給する未利用の森林資源を活用し木質バイオマス発電事業を開始するなど、再生可能エネルギー産業にも積極的に参入しています。

 事業基盤を恵まれた自然を保有する最上地域に置くだけに、山や森に対し強い思い入れがあります。先達から継承する資源を、持続可能な形で活用していく。これは地域にとっての夢であり、そのための事業を安定的に展開することが私たちの目標です。

 また、数十年に一度とされていた災害が当たり前となった現代では自然環境保持は命を守ることと同意義であり、それこそが建設業者の存在意義だと言えます。地域への感謝を忘れず、「持続可能な社会」の役に立つため、グループ一丸となり社業にまい進してまいります。

柿﨑工務所が改良舗装工事を手掛けた国道47号新庄古口道路。地域高規格道路の拡充に力を貸している=戸沢村柿﨑工務所が改良舗装工事を手掛けた国道47号新庄古口道路。地域高規格道路の拡充に力を貸している=戸沢村

豪雨で水があふれた角間沢川で懸命の排水作業に当たる従業員=ことし7月、戸沢村蔵岡豪雨で水があふれた角間沢川で懸命の排水作業に当たる従業員=ことし7月、戸沢村蔵岡

東日本大震災被災地の海岸復旧工事などにも積極的に取り組んだ=福島県浪江町東日本大震災被災地の海岸復旧工事などにも積極的に取り組んだ=福島県浪江町

林業再生の願いも込め整備したもがみ木質バイオマス発電所林業再生の願いも込め整備したもがみ木質バイオマス発電所

棟内では高さ30メートルの大規模ボイラーが威力を発揮する棟内では高さ30メートルの大規模ボイラーが威力を発揮する

現場技術者として生き生きと働く女性従業員現場技術者として生き生きと働く女性従業員