県内 ご当地味覚

県内 ご当地味覚

「県内 ご当地味覚」では、県内各地に伝わる食材や伝統料理について、その由来と栽培・調理法、味わい、旬の時期などを紹介していきます。

雛菓子 人形と飾る小さな芸術

 桃の節句が近づくと、庄内地方の伝統的な和菓子店には山海の幸や鶴亀、桜などをかたどった色とりどりの雛菓子が並ぶ。古くから雛人形と一緒に飾る風習があり、雛祭りには欠かせない。職人の技が凝縮した芸術品ともいえる。

 起源は定かではないが、酒田の本間家などが京都の細工師に作らせた豪華な雛人形に供えたのが始まりとの説もある。江戸中期ごろには、北前船で京都や江戸から運ばれた雛人形を鑑賞する習慣が庄内地方にあり、飾り物の雛菓子が地域に定着したとされる。

 1832(天保3)年創業の酒田市の老舗菓子店では、京都の職人が彫った歴史ある木型を大切に使い続けている。タイやヒラメ、アユ、鶴などの雛菓子はどれも小ぶりで、繊細な色彩が特徴。作り方はかたくり粉、粉砂糖、新粉、ヤマイモの粉などの材料を水と混ぜて練ってから、生地を型で抜く。自然乾燥させて形を整えたら、日本画用の筆を用い、食紅などで色付けする。魚や動物に目を入れる最後の仕上げは店主が行う。  一方、鶴岡市ではあんの入った生菓子の練り切りが主流で、タイやエビ、マスの切り身などに見立てる。致道博物館では3月から雛展示に合わせて市内の雛菓子の逸品を一堂に集めて会場を彩る。

 春の喜びを感じながら、各和菓子店の美と技の競演を楽しむのも庄内の雛巡りの醍醐味(だいごみ)だろう。

【メモ】庄内の雛菓子は、かたくり粉を主材料とするかたくり細工のほか、あめ細工、干菓子、打ち菓子、工芸菓子などさまざまな種類がある。表現する郷土の特産物や縁起物は店ごとに異なり、2月下旬ごろから店頭販売される。
2010年02月16日 掲載
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