ぼくは、広島へ行って、驚いた。これはいけない、と狼狽(ろうばい)した

写真家 土門拳

 リアリズム写真を確立した土門(酒田市出身)は1957年7月23日、広島の土を初めて踏んだ。原爆投下による惨状に驚愕(きょうがく)した。「ぼくなどは『ヒロシマ』を忘れていたというより、実ははじめから何も知ってはいなかったのだ」。憑(つ)かれたように広島通いを始めた。レンズや絵画、彫刻を売って資金を捻出し、取材終盤には、家族に遠慮して散歩に行くふりをし、一枚のために広島へと飛んだ。写真集「ヒロシマ」を58年に発表した。

(2009年8月7日付朝刊)

2020/7/20 07:47
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