やまがた観光復興元年

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やまがた観光復興元年

第10部・全国とどう戦うか[10] 意見交換(下)

2014/12/29 09:23
山形デスティネーションキャンペーン期間中、サクランボのかぶり物で観光客を出迎える子どもたち。観光立県を実現するには、県全体が一丸となった継続的な活動が不可欠だ=6月、山形市・JR山形駅

 本県観光の強みは何か。出席者全員が挙げたのが豊かな食と自然だった。生かし切るには農業と観光の連携が不可欠になる。

 村木沢あじさい営農組合の開沼組合長は、啓翁桜の産地見学ツアー受け入れや、枝豆の収穫体験に千人が集まった経験から農業観光の可能性に気付いたという。「おいしい作物を育てるのに一生懸命で、観光に生かすことは考えてこなかった。農業、観光関係者が互いの産業を学び、つながる視点が必要。農業を観光に生かすための助言、コーディネートをしてくれる機関があれば、農業がもっと輝くのではないか」

 この提案に、飯豊町観光協会の二瓶さんは「役割を担うのは地域の観光協会だろう」と答えた。同協会には町内の農業法人も加盟し、農産物の販路拡大支援を受けている。二瓶さんは「観光は総合産業。工業、林業などあらゆる産業がまとまることで総合的な施策を展開できる」とし、全旅連の山口青年部長は「日本の食の安全性に対する外国人旅行者の評価は非常に高い。農産品は海外誘客でも武器になる」と加えた。

 話は人、ネットワークづくりにも及んだ。置賜地域と上山市で展開するやまがた花回廊キャンペーンの内藤実行委員長は「人と人がつながらなければ地域と地域はつながらない」と言い切る。置賜地域では長く観光協会長や首長も参加する観光振興の勉強会を重ね、人的ネットワークを構築した。同キャンペーンをはじめ、一丸となった事業で誘客を実現してきた。「人がつながれば、仲間で一緒に頑張ろうとすぐに行動できるようになり、隣のまち、県ともつながっていく。今年は山形デスティネーションキャンペーンが行われたが、一過性ではなく、地に足の着いた観光振興に取り組むには、こうした仲間づくりを今後も大切にしてほしい」と次世代に託した。

山形市内で9月に行われた枝豆の収穫体験。1000人近くが詰め掛けた。農観連携は今後の観光振興の鍵の一つになる

 さらに内藤委員長は「観光協会やコンベンション協会の職員、行政職員の人事交流をしてはどうか」と提案。「視野が広がり、新たな情報が入り、課題が見えるはずだ」と述べた。

 東北公益大の中原特任講師は「観光や観光客との交流を通じて子どもたちに郷土の魅力を伝えてほしい。地域に誇りを持つ心が育てば、将来もこの地に住みたいと思うようになる」と教育の重要性を訴えた。

 「全体のレベルアップを図るため、県内の旅館や観光事業所が互いの施設を利用し、評価し合う仕組みを構築してはどうか」。山形大大学院理工学研究科で観光分野の人材育成を担当する高橋幸司教授の提案だ。県内の酒蔵が県研醸会を設立し、利き酒をし合うなどして本県を全国トップクラスの日本酒産地に育てたのと同様の取り組みをイメージさせる。プロ同士だからこそ、気が付くことが多い。高橋教授はこう続ける。「第三者機関の認定団体をつくり、厳格に格付けするような仕組みもレベルアップに有効だ」

 本県が全国と戦うには、地域内で奪い合うのではなく、互いに手を取り、高め合う地域になれるかが、大きな鍵になる。

【出席者】(順不同)

▽やまがた花回廊キャンペーン実行委員会委員長

 内藤文徳氏

▽全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)会長

 佐藤信幸氏

▽同青年部長

 山口敦史氏

▽村木沢あじさい営農組合組合長

 開沼雅義氏

▽東北公益文科大特任講師

 中原浩子氏

▽飯豊町観光協会職員

 二瓶裕基氏

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