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やまがた観光復興元年

第2部・原点に立ち返る[6] 出羽三山Ⅲ

2014/3/4 10:34
出羽三山神社の秋の峰入り。山頂を目指して歩く参加者たち=2013年8月、鶴岡市・羽黒山

 山駆けなどの荒行で「死と再生」を疑似体験し、自らと向き合う山伏修行。出羽三山ならではの厳格な修行への注目が、あらためて高まっている。山伏の称号が与えられる修行は出羽三山神社(鶴岡市)と羽黒山荒沢寺(こうたくじ)正善院(同)が行っている。同神社の山伏修行「秋の峰入り」や女性を対象にした「神子(みこ)修行」の希望者は10年ほど前から増加しているという。

 入山制限をしており、参加者を決める抽選の倍率は数倍だ。古くから湯殿山は生まれ変わりの山とされてきた。「悩み、苦しむ方が生まれ変わりたい、生きる力が欲しいと救いを求めてやってくる」と同神社の吉住登志喜企画広報室長(54)。

 修行の体験版も人気を集めている。同市のいでは文化記念館は1992年から山伏修行体験塾を行っている。日帰りから2泊3日のコースで、2012年度は8団体約380人、13年度は7団体約430人が参加。中学生の団体もいる。

 この体験塾を旧羽黒町役場職員時代に始め、山伏でもある星野文紘さん(67)は、自身が営む宿坊「大聖坊」でも修行体験を受け入れている。04年から年に数回開催し、参加者は500人近くに上る。

 修行体験者が100人いれば100通りの「答え」を導き出す姿を見てきた。今年は小学生の受け入れも検討している。「一つの答えを求める勉強に追われている子どもたちに、1人1人に違う答えがあることを体験から学ばせたい」。星野さんは言う。

高山植物も月山の魅力。月山の各登拝口が連携した観光振興事業が展開されている=2013年7月

 宿坊「大聖坊」(鶴岡市羽黒町手向)で行う山伏修行体験での出会いをきっかけに、星野文紘さん(67)は全国に講演に呼ばれるようになった。東京、京都、淡路島でも出羽三山の修行と精神文化について語った。羽黒山伏が「営業マン」として江戸のまちなどで行っていた「つじ説法」の現代版だ。

 「自然と人、食と人、人と人、地域と地域をつなぐのも山伏の役割」と星野さん。地区に残る約30の宿坊の中で修行体験を受け入れているのは大聖坊だけ。「修行体験を行う宿坊が増えたら、もっと多くをつないでいけるのではないか」と続けた。

■「十口」の連携

 月山の各登拝口の関係者が連携し、地域振興を図る取り組みも進行している。「月山・新八方十口プロジェクト」だ。出羽商工会観光力研究会や、月山周辺に位置する鶴岡、庄内、西川、大蔵、戸沢5市町村の観光担当者、観光協会などで実行委員会を組織する。

 かつて「八方七口」と呼ばれた羽黒口、大網口、七五三掛口の庄内側3カ所と、本道寺口、岩根沢口、大井沢口、肘折口の内陸側4カ所に、立谷沢口(庄内町)を含めた「八方八口」で2011年度にスタート。12年度に角川口(戸沢村)、玄海口(西川町)を加えて「八方十口」とした。地図に重ねて見ると、八方十口が庄内、最上、村山と県内の広範囲に点在しているのがよく分かる。

 月山登山のツアーのほか、5市町村の首長が歴史や文化、自然など月山の資源を地域振興に生かす方策を話し合う月山サミットを開催してきた。13年には、各登拝口にあるパワースポットや飲食・宿泊施設の情報をまとめたパンフレット「月山聖地巡礼ノ旅」を作成。▽庄内と内陸を結ぶ古道・六十里越街道▽肘折温泉開湯伝説の地・縁結び地蔵倉▽角川口の入り口として参拝者が道中の無事を祈願した今熊野神社―など多彩な観光資源は関係者にも再認識された。

■何度も来たくなる

 月山は、花々や残雪、弥陀ケ原湿原の風景などでも人気を集め、月山観光ガイドの会が案内した人だけでも、12年度は約1万300人、13年度は約1万1300人が訪れている。今年はパンフレットの内容をさらに充実させた第2弾を作成し、6月に本県で始まるデスティネーションキャンペーンに合わせて発行する予定だ。

 星野さんは、このプロジェクトの代表も務めている。「例えば羽黒口なら山伏と精進料理の里、肘折口なら豪雪と温泉など、それぞれの登拝口ならではの魅力を育て、発信すれば、何度も来たくなる地域になるはずだ」と力を込めた。

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