山形にフル規格新幹線を

利用者目線(5) つばさは割高?

2017/1/19 14:29

 山形新幹線つばさは、フル規格の東北新幹線やまびこ・はやてよりも特急料金が割高―。まさか、という人も多いだろう。「速度が遅い方が速い列車よりも高い? 逆ではないか」。こうした疑問が湧いて当然だ。

 つばさの東京―山形間(359キロ)の特急料金は5400円。一方やまびこ・はやての場合、より距離が長い東京―古川間(395キロ)は4950円。より料金が高いはやぶさでも東京―古川間は5260円だ。

 なぜ料金と距離の関係が逆転するのか。つばさは福島以北で在来線の奥羽本線を走る。そのため、東京―福島間は新幹線の特急料金だが、福島―新庄間は在来線の特急料金が適用される。福島―新庄間で乗客は料金上、“奥羽本線特急つばさ”に乗っている。

 つばさ、やまびこ・はやてのどちらで東京を出発しても福島までの新幹線特急料金は同じ4200円。やまびこ・はやては福島以降も東京からの距離が通算されて料金が増えるが、つばさは福島発の料金体系に切り替わる。つまり、福島で再び「初乗り」に近い扱いとなる。結果的に、この分がやまびこ・はやての新幹線特急料金の上昇幅を上回り、つばさが割高になってしまう。

 料金の面で、福島以降のつばさは新幹線と見なされていない。あくまで在来線の特急なのだ。

 (金額は通常期の指定席特急料金)

 

 県民につばさの「割高感」はあまり知られていない。山形市小姓町、会社役員斎藤吉彦さん(59)は10年近く前から年十数回、つばさで東京に出張していたが、山形―東京間の特急料金が仙台―東京より高いことは「知らなかった」と驚く。「ほとんどの人が知らないのではないか」と推察した。

 山形新幹線の料金体系や速度が現状のままで、今後さらに東北新幹線がスピードアップすれば「新幹線の本数が多い仙台経由もありだ」と出張時のルート変更も頭をよぎる。

 JRの料金表を基に、東京を起点としてつばさとやまびこ・はやての特急料金を比較する。東京―福島は同額で4200円。つばさは福島―新庄間で▽50キロまで890円▽100キロまで1200円▽150キロまで1650円と設定されており、この基準で4200円に加算される。

 福島―山形間は87キロなので、山形(東京から359キロ、以下かっこ内の数字は東京からの走行距離)なら1200円加算され、5400円。このように米沢(312キロ)はプラス890円で5090円。天童(373キロ)と新庄(421キロ)はともにプラス1650円で5850円となる。

 一方、やまびこ・はやては距離に応じて駅ごとに定められた新幹線特急料金がある。例を挙げると、仙台(351キロ)は4950円、一ノ関(445キロ)は5480円、盛岡(535キロ)は5810円。天童と比べて、距離が150キロ以上長い盛岡の料金は40円低い。

 新庄市下田町、団体職員川田祐司さん(34)は「やはり遅くて高いのは不公平感がある」と首をかしげる。時間的にも料金的にも東京は「気軽に行ける場所ではない。少しでも早く着き、安くなることに越したことはない」と続ける。

 この思いは首都圏などからの観光客にとっても同じだと感じている。昨年12月、新庄まつり山車(やたい)行事が国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録され、地元では観光客増に期待が高まっている。川田さんは「地域活性化のためにも、ぜひ山形新幹線の利便性が高まってほしい」と注文した。

 (記事、図ともに金額は通常期の指定席特急料金)

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)=テーマ「利用者目線」おわり

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