山形にフル規格新幹線を

利用者目線(4)つばさVSはやぶさ

2017/1/18 09:50
JR東京駅の東北、北陸などの各新幹線が発着するホーム。午後5時台のつばさ、はやぶさで山形を目指した

 安全、快適、大量輸送…。「新幹線とは」の問いに対し、多くの人からこうした答えが出てくるだろうが、やはり真骨頂は速さだ。車両の改良が進み、全国の新幹線はどんどんスピードアップしている。時速300キロ台で営業運転している東北新幹線や秋田新幹線(東北新幹線区間)と比べ、山形新幹線は取り残された感がある。「JR東京駅をスタート、山形市の文翔館をゴール」としたレースで、山形新幹線の時間的優位性を検証してみた。

 レースの第1ルートは、東京―山形間を山形新幹線つばさ号で移動。終点の山形駅からタクシーで文翔館を目指す。“対抗馬”となる第2ルートは東京―仙台間を日本最速を誇る東北新幹線はやぶさ号を使う。仙台駅からは高速バスに乗り換え、山形市の山交バスターミナルで下車。そこからはタクシーでゴールを目指す。

 第2ルートは乗り換えが多く不利だが、新幹線区間は停車駅が山形新幹線と比べ少ないことに加え、最高速度320キロでハンディ克服を図れるかが見どころ。レース開始は午後5時台。1日の中で最も混み合う時間帯の一つだ。

 午後4時半。東京駅新幹線ホームに集合した。先発は午後5時ちょうど発のつばさ149号。20分遅れてはやぶさ29号が駅を出た。定刻よりつばさ号は6分、はやぶさ号は5分遅れて出発した。

 【はやぶさ号車内】仙台までに止まる駅は上野、大宮のみ。所要時間は1時間32分。つばさ号よりスピードが出ているのに、ほとんど揺れを感じない。そして広い。前の座席後部に設けられたトレーに駅弁とお茶を置き、ふたを開けた。何せ1時間半で到着。ゆっくり味わっている暇がない。午後6時52分、仙台駅に着いた。山形新幹線の時間感覚が染みついている記者にとっては「もう」。仙台駅前のバス停まで歩く。17分後にバスに乗った。

 【出発後のつばさ号車内】停車駅は上野、大宮、宇都宮…と計10駅。はやぶさ号に比べると随分、停車駅が多い。E3系車両を使うつばさ号の最高速度は時速275キロ(東北新幹線内)。新幹線区間では圧倒的に不利だ。東京を出て約1時間半後、「間もなく福島」のアナウンス。思わず「まだ福島か…」と心の中でつぶやく。はやぶさ号の仙台までの所要時間と同タイムだ。レース中だけに、歩みの遅さが気に掛かる。

 【はやぶさ号下車し、乗り換えた高速バス車内】仙台市中心部を抜け、10分ほどで東北自動車道。つばさ号に乗っている記者から「米沢駅を出た」との連絡が入る。山形蔵王インターチェンジ(IC)まで残り約40キロ。「いい勝負」との手応えを感じる。山形道に入った時点で、つばさ号組から「かみのやま温泉駅着」のメール。出発時の20分のハンディを挽回できるか。

 【福島駅を出たつばさ号車内】やまびこ号との連結を切り離し、単独で山形を目指す。福島以北は最高速度を時速130キロに抑えて運転。この速度では、さすがに新幹線に乗っている感覚はない。米沢到着時には東京を出て2時間超が経過。携帯電話が通じにくい「不感区間」も多いので、特にすることもない。早く山形に着いてほしい。

 【つばさ号組ゴール】午後7時17分、高畠駅。同45分の定刻に山形に到着した。人の流れに乗ってエスカレーターを上がり、改札を出た。山形駅前のタクシー乗り場には順番待ちの列があるものの、待ち時間なく乗車して文翔館へ。午後8時3分、敷地内に足を踏み入れた。所要時間3時間3分。逃げ切ったか?

 【はやぶさ号組ゴール】午後7時26分、仙台南ICを通過、つばさ号組から「赤湯駅を出た」とのメール。笹谷トンネル内で本県入りしたのが同53分。確実に差を詰めている。つばさ号組から「到着」とのメールが入った時は県庁前。タクシーに乗ったのは午後8時12分、そしてゴール。時間は同18分。所要時間を見る。2時間53分。かかった時間だけ見ると仙台経由の勝利。

 この結果から山形新幹線の時間的優位性をどう判断するべきか。(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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