(89)祭りの季節~渡辺えりの ちょっとブレーク|山形新聞

渡辺えりの ちょっとブレーク

(89)祭りの季節

2012/7/31 16:18

 いよいよ8月5日に山形花笠まつりが始まります。今年は50周年記念。参加者もこれまでで1番の人数ということで、きっとお客さまたちも盛り上がると思います。

 私が花笠で踊るのは3度目。最初は定年になったいとこが元気に踊る姿に励まされたから。病気で入院している叔父や、日ごろお世話になっている皆さんにも元気のおすそ分けと思い、必死になって踊りました。2度目は仕事の合間をぬって当日突然の参加だったため、翌日立てなくなるほど足を痛めてしまいました。

 昨年は芝居の本番があったため参加できませんでしたが、今年は東京の若い仲間と共に参加して踊ります。来年の8月はちょうどまた舞台の本番で参加できません。皆さんと一緒に踊れるのはまずは今年の花笠! ということで、私と一緒に盛り上がりませんか?

 今年は、いつもチームのリーダー格でみんなをまとめてくれていた親友が病気で入院中のため、みんなで元気に踊って友人を勇気づけようという意図もあります。そして震災を乗り越え、東北地方一丸となって、全国のお客さまに、いつもは目には見えない東北の心を具体的に披露したいという思いがあります。祭りは日ごろのうっぷんを晴らす力もありますね。

 今年は「ロケット団」(三浦昌朗さんは山形市出身)と佐藤唯ちゃん(寒河江市出身)も参加してくれます。終了後みんなで乾杯する予定です。浅草公会堂で「ロケット団」の漫才を拝見しましたが、風刺が効いてとっても素晴らしかった。佐藤唯ちゃんも真面目で心優しい女性です。山形出身の芸能人たちは本当に心があったかく、相手を思いやる気持ちが強いですね! 私も初心を忘れず頑張ります。

 10月放送予定の2時間ドラマ「潜入捜査官・骨を知る女」の撮影が23日に終わりましたが、その監督が山形市出身の鶴巻日出雄さん。何と山形六中の後輩だったのです。

 最近台詞(せりふ)のアクセントが違うとしょっちゅう注意されて「おや?」と思っていたら、監督がものすごい山形弁なので移ってしまっていたことに気が付きました。私もすぐに山形弁に戻ってしまいます。「苦労して東京弁を覚えたのにひどい!」と監督にいつも抗議しています。

 安達祐実ちゃんと石原良純さんはパート1と同じく捜査の助手役を務めてくださいました。また、あこがれの篠田三郎さんとも共演できました。スタッフも、若い方でも熱心で明るく、日本もまだまだ捨てたもんじゃないな、と思わせてくれます。

 今回はイタリア旅行の続きを書くと言いながら、花笠祭りのことを書いてしまいました。ポンペイ、ローマ、アマルフィ、そしてミラノの話は次回にさせてください。

 劇作家協会の若手の作家に昔、私が広報誌に載せた文章を再掲載させてほしいという連絡が入りました。「芝居をしたいという夢が叶(かな)ったのだから、今が辛(つら)くても苦しくても、それも夢の一部なのだ」という文章です。初心忘るべからず。昔の自分が、つい弱音を吐いてしまう今の自分を叱責(しっせき)してくれました。

 夢見る力でがんばんべ!

(劇作家・女優、山形市出身)

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