(110)歌は演劇の一部~渡辺えりの ちょっとブレーク|山形新聞

渡辺えりの ちょっとブレーク

(110)歌は演劇の一部

2014/6/26 15:15

 NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で“北三陸の越路吹雪”というあだ名の今野弥生役をやってから、各地でコンサートの依頼が相次いでいる。先日、九州の福岡と小倉のライブハウスと、都城の劇場でシャンソンライブを行い、3日間大入りの大盛況であった。

 28日には東京・下北沢のライブハウスで久しぶりに浅川マキさんの歌を歌う。山形西高の3年生だった頃、2年前に亡くなった親友「ワンコ」こと中井由美子さん(舞台照明家)と組んでいたユニット「やぎ座」で歌っていた歌だ。高校2年の時の演劇部で、劇作家寺山修司作「犬神」という作品を県民会館で上演したが、その寺山さんが作詞した歌を歌っているマキさんに興味を持ち、レコードを聴いたのが始まりだった。

 アンダーグラウンドの源流ともいえるマキさんが67歳の若さで、4年前に突然死したことにショックを受けたが、若い演劇人たちが浅川マキの名前を知らないということに驚き、「よし、歌おう」と決めた。その直後に寺山修司記念館(青森県三沢市)を見学し、才能の凄(すご)さをあらためて感じた。さらに、山崎ハコさんのバースデーコンサートに出演した時にマキさんの「かもめ」を歌ったことなど、偶然の出来事も重なった。シャンソンはライフワークにしていくつもりだが、青春時代に影響を受けたアーティストたちの作品も機会をつくって発表していきたいと考えている。もちろんオリジナル作品もある。

 7月5日、寒河江市の市制施行60周年の記念事業が市民文化会館であり、ミニコンサートを依頼された。私が日本語の詩を付けたシャンソン「バラ色の人生」など7曲を歌う予定なので、お時間のある方はぜひ来てほしい。伴奏は高校時代にバンドを組んでいた山形のミュージシャンと、山形西高の後輩のアコーディオン奏者にお願いした。

 考えてみると、小学校の時は声楽部。中学校では合唱部。そして高校の時はフォークロックのバンドの活動と、演劇部での活動以前に音楽の世界に浸る時間が長かった。演劇の中でも音楽は常に重なっていて、私にとっては切っても切れないものである。

 コンサートをやるというと「何でもやるんですね?」と笑う方もいるが、私の中では歌は演劇の一部と思っていて、お客さまに喜んでいただければ幸いという気持ちなのである。

 8月7日は山形花笠まつり、11月は山形市での演劇公演。今年も故郷山形の皆さんとお会いできる機会が多く、幸せな年になりそうです。

(劇作家・女優、山形市出身)

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