渡辺えりの ちょっとブレーク

(111)平和祈り花笠を

2014/7/31 15:15

 「渡辺流演劇塾」の塾生たちと山形花笠まつりの踊りの稽古をした。8月7日の山形市七日町大通り、今年は東京の若者16人と夫の土屋良太、そして「天使猫」に出演する宇梶剛士君。いつものメンバーのロケット団の三浦昌朗君(山形市出身)と歌手の白崎映美さん(酒田市出身)も参加する。賑(にぎ)やかな「夢見る力でがんばっべの会」になる予定である。

 今の若者たちは日本舞踊に触れたことのない人が多く、腰が低く入らず、足が伸びきって変な踊りになってしまう。ビデオを見ながら何度も繰り返したが、なかなか良い踊りになってこない。11月に山形で上演する宮沢賢治の半生を描いた「天使猫」でも鬼剣舞(おにけんばい)をみんなで踊るシーンがある。日曜日の塾の授業に岩手県の保存会の方が指導をしに来て、丁寧に親切に教えてくださった。

 塾生たちも熱心に稽古をする気持ちは大いにあり、今後が楽しみなのだが、花笠まつりはもうすぐに迫っている。私は指導の熱が入り過ぎ、「どうしてちゃんとやれないのだ…」と思わず泣いてしまった。気合が入り過ぎて感情が高ぶるとつい泣けてくるのが子供の頃からの癖なのだ。幼児性が強いのである。

 当日は車3台で東京から出かけ、布団屋さんから十数枚の布団を借りて、みんなで雑魚寝することになっている。帰りは岩手に寄って鬼剣舞の踊りを習う8人のグループもいる。

 せっかく山形まで来るのだから、みんなで温泉に入ってもらいたい。私は8日、テレビの生本番があるので早朝の新幹線で東京に戻らなければならない。しかし7日はホテルで打ち上げを行い、そこで塾生たちの「天使猫予告編」の上演や、私の歌と演奏などのパフォーマンスをやることにもなっていて、ハードな踊りの後の楽しい一時が待っている。来年は60歳。こういう肉体を酷使する出し物がいつまでできるだろう?

 先日、まだ73歳の斎藤晴彦さんが突然亡くなり、大きなショックを受けた。蟹江敬三さん、すまけいさん、林隆三さん、地井武男さん…小劇場の大先輩たちが次々と逝ってしまわれた。まだまだ面倒を見てもらえる、甘えられると思っていたのに…途方に暮れる日々である。

 そしてマレーシア航空機への爆撃による多くの犠牲、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエル軍の攻撃による500人以上の死者。世界はまたまた大変なことになっている。日本も特定秘密保護法が国会を通り、集団的自衛権の行使容認も閣議決定されてしまうという異常な状況。戦争が他人事(ひとごと)ではない状況が刻一刻と迫っている。とにかく平和の祈りを込めて花笠を踊ろう。お祭りは平和の象徴である。

 かつて戦争によって多くの地元のお祭りが消えた。そうならないよう、踊って笑って山形の夏を謳歌(おうか)しよう!

(劇作家・女優、山形市出身)

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