渡辺えりの ちょっとブレーク

(122)共に歌い、演じる

2015/6/30 13:00

 山形市民会館での還暦コンサート(6月2日)に、大勢の故郷の皆さまにおいでいただき本当にありがとうございました。

 両親が健在なうちになんとかやりたいと準備を進めてきたコンサートでしたが、皆さまの温かいお力のおかげで実現できました。心から感謝しています。

 両親、親戚、恩師そして友人たちから声援をいただき、また頑張って生きていく勇気を得られました。

 前日まで仕事が入り、もう限界ぎりぎりまでのリハーサルで、何度か、もう上演は無理なのではないかと諦めかけたことも何度もあったんです。

 コンサートは事務所の仕事とは別の“個人NG”での創作活動でした。つまり事務所にスケジュールを空けてもらい、ノーギャラで自分が決定、出資する活動でしたので、お金になる仕事の合間に、自分で時間を作って練習しなければならなかったのです。山形、岩手と旅公演は交通費、宿泊費とお金がかかるため、出演者が多いと、頑張っても赤字になってしまうのです。しかし、岩手の花巻でも震災で家を無くされて花巻の仮設住宅にお住まいの方や陸前高田の方たちにも楽しんでいただきたくて、ご招待させていただき、私自身はたとえ赤字でも、やりがいのあるコンサートでした。南相馬から山形に移住された方たちと再会できたのもとてもうれしい出来事でした。

 これからも手を取り合って行ければと願っています。

 そして、ミュージシャンの方たちが山形をとても気に入ってくださり、またやりたいと言っていただけたこともとてもうれしかったです。山形の料理、山形のお酒をみんなとても気に入ってくれました。山形六中で同級生だった鈴木重雄君が経営する焼き鳥屋「前田村」での打ち上げで大いに盛り上がりました。重雄君が山形名物、あけびの皮の肉詰めをわざわざ作って待っていてくれました。

 被災地にテントを張った「天使猫」の公演の時にお世話になった石巻の牡蠣(かき)小屋の方たちもわざわざ来て、打ち上げにも参加してくださったのですが、石巻でもあけびの皮は食べないとのこと。私の好物あけびの皮の料理は山形特有の料理だったのです。

 翌日、3年前に亡くなった親友の中井由美子さんが若い時にアルバイトしていたジャズ喫茶「オクテット」で追悼のミニライブも決行。有志のミュージシャン4人に演奏してもらい、歌いました。高校生の時に中井さんと組んでいたユニット「やぎ座」で歌っていたナンバーを含め、浅川マキの歌を中心に歌ったのですが、一番聴いてほしかった中井さんがいないということをあらためて感じてしまい、涙が止まらなくなってしまいました。

 しかし、人間というものは、こうやって親しい人たちの死とともに生きていく訳で、そのために歌や演劇があるのだと強く感じました。乗り越えなくても良い。共に歌う、演じる。そして、お客さまたちは共に、観(み)て、聴いてくださるということなのですね。中学校の時に、一緒に生徒会の役員をしていた方とも45年ぶりに再会しました。

 皆さま、また機会がありましたら私の歌を聴いてください。

(劇作家・女優、山形市出身)

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