渡辺えりの ちょっとブレーク

(127)還暦公演の締め

2015/11/28 12:57

 12月16日から始まる舞台の稽古中である。東京世田谷の下北沢にある小劇場「ザ・スズナリ」で上演する「ガーデン」という作品で、私の還暦特別公演と銘打っての最後の締めくくりである。

 「ガーデン」は18年前に新宿サザンシアターで上演されて好評だった作品で、おばさんパワーの炸裂(さくれつ)する芝居である。オフィス3○○(さんじゅうまる)の作品は自分が演出するため、普段は出番が少ない。そのため、還暦記念にふさわしく、出番の多いものということと、今回出演してくださる中嶋朋子さんにぴったりの作品だということで選んだのだった。

 中嶋さんは、私が20年以上前にNHKのドラマ「音・静の海に眠れ」を書いた時の主演女優で、その時からいつか共演したいと願っていた。中嶋さんの今回の役は私の母をモデルにして書いたもので還暦記念にふさわしい作品になりそうである。

 昨年、25歳で自死してしまった若手の女優がやりたいと言っていた作品でもあった。

 彼女は私が一人芝居を山形のシベールで上演した時に、ラストの私の吹き替えをやってくれた女優でもある。体形が私に似ていたので、観客の皆さまも後ろ姿で彼女が登場した時に驚きのうなり声を漏らしてしまうほどであった。

 今回の作品には不死の少女が登場するが、彼女の命日12月21日も本番の舞台で彼女の分まで頑張るつもりである。

 スズナリという劇場を選んだのも、今まで人生の節目節目に使わせていただいた思い出深い場所だからである。初めて新橋演舞場の演出をやらせていただいた直後に劇団の若手だけで上演した「風の降る森」、またまたメンバーが入れ替わり、無人塾を開塾した後に多くのゲストを迎え公演し、地方を回って1千万円の借金をかぶってしまった後に再生を図った公演「赤い靴」もスズナリだった。

 三国連太郎さんや森光子さんらが観客席におられ、客の方が派手じゃないかと言われたりしたものだった。「深夜特急」の後に吉田日出子さんとの二人芝居を演じたのもスズナリで、その時は中村勘三郎さんもゲストで出演してくれ、大掛かりな早替えを見せてくれた。劇団3○○解散後結成した宇宙堂の旗揚げ公演「星の村」もスズナリだった。

 若い頃はハードルが高く、なかなか貸していただけないあこがれの劇場で、今でも小劇場の聖地と言われている。

 昔はクーラーがよく壊れ、失神してしまうお客さまもいた。100人入ればいっぱいになる劇場に当時は350人も入って、客入れに35分かかることもあり、そんな日に限って三国さんが見に来られたりしたものであった。

 今は客席も整備され、冷暖房もしっかりしていて快適である。2001年の宇宙堂旗揚げに参加していただいた山崎清介さんと大沢健さんも参加される。「天使猫」で大好評だった谷川昭一郎さんも私の夫役で出演してくださる。渡辺流演劇塾の塾生も夫の土屋良太も張り切って稽古真っ最中である。本番中のアフタートークに思い出深い豪華ゲストが出演し、クリスマスには歌謡ショーも企画している。29日の千秋楽は楽しい忘年会になれば良いなあ。

(劇作家・女優、山形市出身)

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